黒い大洋に沈む幻の大陸「ランディア」の海底迷宮(4)
更新いたしました。
「日本人を捜している」とっさに出た言葉だった、父も異世界に飛ばされていた、母もこちらに飛ばされて生きているのでは・・、わずかな可能性を心の片隅に抱いていた・・。
「母さん」
再びアキラは叫ぶ、こちらに気づいてもらうために。
ショワンウー(玄武)はバイフー(白虎)を責める様に語り掛ける。
(チーリン(黄麟)に導かれてここ迄来たのだろう・・、こうなるとは思わなかったのか)
(ショワンウー(玄武)、その日本人を開放してはもらえないか?)
(チンロン(青龍)といいお前達は甘い、この者の持つ戦闘に関しての知識を共有するまでには最低でも後二十年はかかる)
(別の知識では駄目なのか?)
(この女はチンロン(青龍)と闘った男の技の知識・・、その本流を守る一族の末裔だぞ、代わりなどいない)
バイフー(白虎)はその言葉に断念そうにシャトルーズの方を向くと。
(すまない、君の母親の所有権はショワンウー(玄武)に有り、その体内からは本人の意思で開放しなければ、それ以外の方法では中の生命体は狂ってしまうんだ・・)
(そんな・・、俺が代わりになっても駄目なのですか・・?)
(子であるお前には同等の知識が有るとは思えん、バイフー(白虎)話はこれまでだ出ていってくれ!)
ショワンウー(玄武)が怒気を含んだ念話を返してきた。
(チーリン(黄麟)よ悪いが一旦引いてくれ)
アキラは悔しさをにじませながらも部屋を出ていった。
バイフー(白虎)の自室に招かれたアキラはシャトルーズに搭乗したまま石の椅子に腰かけていた。
(チンロン(青龍)と闘った男が君の父親だとはね、君達は親子で五体の守護神の内の二体を所持していることになる、偶然とは思えないが・・?)
気持ちの整理がつかないままアキラが答える。
(俺の幼いころに、父はこの世界に召喚されたようです、私は最近ですが全然違う大陸で呼び出され本当にこの前、父と再会したんです)
(なのに、君も父親も守護神をしかも君はチーリン(黄麟)と共にある・・、五神は魔核が失われようとも意識が有り黄麟に至っては自我すら保っているとされている。故にチーリン(黄麟)は所有者を選ぶ・・先王も扱いかねていた)
(一体何が有ったのですか?)
(沈みゆく大陸を世界樹とゴーレムの魔力で再び浮上させようとしたんだよ・・、その大惨事の結果、黒い大洋が生まれ我々はチーリン(黄麟)とチューチュエ(朱雀)を失い、残った者も十数人程となってしまった)
(大陸を持ち上げようとしたのですか)
(やみくもにね、私達に「プレートテクトニクス」なる理論を知ることが出来ていれば成功した可能性が有ったと後に分かるんだがね、その事も有って私達は君たち異邦人の知識人を召喚して先程の様に同期し知識を増やす事に皆夢中なんだよ)
(母は知識人じゃ・・)
(君の父親がミスリルゴーレムでチンロン(青龍)に打ち勝ったことでショワンウー(玄武)が武の知識を欲して召喚したようだ)
その言葉を聞いてアキラは思う・・、母は召喚されなければ多分・・本当に死んでいた・・、しかしだからといってこのままでは二十年以上、解放されることはない・・今、自分に出来る事は一体・・。
霧がかかった様にアキラは答えを見出せないでいた。
次話もどうぞよろしくお願いします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




