南北を分断する長壁の要塞都市「バリキシメト」(13)
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「アキュラ、貴方の父親は脳が二つ有るのですか?左右の剣が別の生き物の様に迫ってきます!」
チャアのの悲鳴にも似た叫びがアキラの頭に響く。
「これを受けきれと・・」
「三本目!」
「シャトルーズ、目を覚ませ!」
たまらずアキラはシャトルーズに声をかける・・。
「何だこの手合いは・・、光る虫が空を舞っているようにしか見えん」
監視所のカーメルが諦めた様に声を出す。
「全くです、我々では何も立会人としての意味をなしません・・」
長壁の上に立つ二人の騎士達ですら同じだった。
「速すぎる・・、剣の動きをとても目で追っていけない」
「我々と違う時間の中で、闘っているようだ」
交錯する二騎のゴーレムその内の黄色い光を放つゴーレムがその黄緑色をした瞳を開いたその時「アオウ」の右手に持つ剣がその指と共に破壊される。
失速する「アオウ」、剣を収めその手を掴み降下するシャトルーズ。
「ここ迄だな、目覚めたなシャトルーズ・・、その意識は晃と共にあるようだな・・」
「親父・・」
「邪悪さは感じん、お前の良き理解者となってるようだな・・、私はこの「アオウ」と闘いその中に潜む者を倒すことによって「アオウ」を得ることが出来・・生還出来た。もしそのゴーレムが私の出会った事のない知的生命体で有るのなら海底の地下大迷宮に向かえ、この世界の真実がそこにありシャトルーズの存在がなんであるかが解ると思う」
「西の海・・」
「そうだ、私達が元は太平洋と呼んでいた海だ、それに此処でお前を拘束すると間違いなくシャトルーズがお前を守るために暴れそうだからな」
「・・わかったよ」
その時・・、長壁の全ての監視所からサイレンが鳴り響いた。
「ヤガー」が率いるゴーレム軍隊が「バリキシメト」上空の異変を感じ精鋭軍隊による威力偵察に向かって来ていた。
「長官、お下がりください」
素早く上昇してきた警護の騎士達が叫ぶ。
「左手一本でも問題なく戦えるぞ」
「貴方はこの国の替えのきかない国の宝なのです、お下がりください」
もう一人の騎士のゴーレムが更に前に出る。
「・・親父・・、一度だけこの国の為に剣をふるうよ、そしたらサヨナラだ」
アキラも更にその前にシャトルーズをだす。
「貴様、本当は「わの国」の騎士だろう」
再びヤガーがシャトルーズに襲い掛かる。
「・・俺は「ぜら・あな商会」の者だ」
「まだ言うのか!」
怒りに満ちたヤガーの漆黒のアダマンタイトゴーレムの剣が黒い炎をまといシャトルーズに襲い掛かってくる。
しかし・・再びシャトルーズの両目が光ると、その剣もろとも硬いアダマンタイトをまるで熱いナイフでバターを切るかのごとく二剣で四つに切り裂く・・。
その様子をみるや威力偵察の部隊はその空域を離脱していく・・、そしてシャトルーズも西の空に向かって飛び立っていった。
南北を分断する長壁の要塞都市「バリキシメト」の章はここまでとなります。
次回から新章に入ります、どうか次章もよろしくお願いします。
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