南北を分断する長壁の要塞都市「バリキシメト」(12)
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「いくぞ晃、一本目!」
父の「アオウ」が、いきなり神速の抜刀技を放つ。寸前のところでシャトルーズの右手の盾でいなす。
「正確にシャトルーズの首を狙ってきました、殺意は感じませんが・・危険すぎます」
チャアが悲鳴に近い声を上げる。
「二本目!」
そのままの流れで左から斜め下へ袈裟斬りを放つ。
「チャア、リミッター解除だ思考加速に入ってくれ」
剣でいなしながらアキラはチャアに叫ぶ。
「三本目!」
次は右から斜め下にかけて袈裟斬りを放たれた、それをアキラは右手の盾と左手の剣ではじき返す。
「四本目!」
「五本目!」
「向こうも思考加速が使えるのですか?」
チャアの問いかけにアキラも叫ぶ。
「いや、あれで通常状態だよ・・さらに加速してくるぞ」
「六本目!」
切先が迫り、更に上段から振り下ろされ、シャトルーズが後方に飛ぶと更に上空へと舞い三次元的に上空から脳天を切先で串差しにしようとする。
「フル加速だ、親父は剣技を立体的に変化させてきやがった・・初見で躱せるかよ」
「七本目!」
もう既にそれはアキラの知る剣技ではなく空中での新たな剣技となっていた・・。
「八本目!」
「九本目!」
「十本目!」
「十一本目!」
さらに加速する剣を正中線を取られない様にアキラは必死で二刀の剣でいなし続ける、その圧が消えたと思ったその瞬間、目の前から「アオウ」が消える。
「アキュラ、上です」
「十二本目!」
もの凄い落下速度を生かした上段から正面切りを放つ。
「アキュラ、受けずに避けきって下さい武器が破壊されます!」
チャアのその言葉に応じる様に後方に飛びながらシャトルーズを後方宙返りさせながらおもいっきり両足を開く、その間を「アオウ」の剣が抜けていく・・。
「流石だ晃、いやシャトルーズか、とうとう私に二刀を抜かせるか・・」
そう叫ぶと「アオウ」の持つもう一つの小剣を抜く。
監視所の立会人はこのわずかな立ち合いだけで既に言葉を無くしていた。
「あんなフジワラは初めて見る、二刀構えるのか・・」
長い付き合いのカーメルも驚きを隠せなかった。
その思いは長官の舎弟でもある二人の護衛の騎士達も同じだった。
「あんな構えを取る師匠は初めて見る・・」
「ああ、俺達はもしかしたらこの立会を見れた幸運を感謝しなければならないな・・」
固唾をのんで見守る中シャトルーズが光を放つ。
「ほう、いよいよ本気を出したか晃、いやシャトルーズ・・今度は、シャトルーズ・イエローの光を放つか」
そう言いながら紺碧色の「アオウ」もあたかもチェレンコフ光のような光を放つ。
「アキュラ、怖い・・この子を制御できるかわからない・・」
「チャア、シャトルーズは俺達を選んでくれたんだ・・そう思いたい、多分親父もその事を確かめようとしているんじゃないかと思う」
ゴーレムを超えた異質なゴーレムの闘いが今、始まる・・。
どうか次回もよろしくお願いします。
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