南北を分断する長壁の要塞都市「バリキシメト」(11)
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「アキュラ、感謝します・・ありがとう」
白い石をその体内に戻し終えたラートリーに腕輪を返すと深々と頭を下げアキラに別れを告げた。
「こちらこそ、ありがとう」
アキラも微笑みながら頭を下げる。
「ラートリー殿、これで真実を話せます。「わの国」の者としてこれまでの話に嘘偽りは有りませんか?」
秘書官が尋ねる。
「はい、問題ありません」
ラートリーが答えると。
「はい、わかりました。フジワラ国防長官この後のシュミー殿に関しての報告書はどの様にいたしましょうか?」
「黒船の警備をしていた息子のゴーレムが空間転移を起こす様なゴーレムかを私自ら確かめようと思う」
「どのようにして?」
「城壁の外で立ち合いを行う、立会人を用意しておいてくれ」
「長官自からですか?」
「そうだ、私以外に適任者はおらんだろう」
「わかりました、監視所に立会人を用意いたします」
「俺も立ち会わせてくれ」
カーメルと秘書官はそう答えると付与魔術士を連れて再び退室していった。
「ラートリーは隣の私室で止まり木にでも止まって待っておいてくれ」
部屋の扉を開けると部屋から一人のフェアリースライムが飛び出してくる。
「ああ、紹介しょうこのフェアリースライムは「ムサッシ」と言う」
珍しい雄型のスライムを連れて親父は執務室を出ようとする、慌ててアキラとチャアも後に続く、執務室の扉の先には両側に先程の二人の騎士が立っていた。
「長官、立ち合いをされるのですか?お供いたします」
「見てるだけだぞ」
「はい」
そう言うと二人の騎士は後ろに続いて付いて歩き出した。
螺旋状の階段を上りしばらくすると二人の兵隊の服装をした者ががこちらに敬礼すると扉を開く、そこは長壁の屋上だった。
「つくづく、親父は出世したんだな・・」
アキラが親父に話しかけると。
「気が付いたらこうなってたんだよ、お前もその様なものだろう」
「そうだよな・・」
「さて仕合うか・・。お前達は此処で待っておけ」
後ろを振り向き護衛の騎士に命じると、二人は足元に手をつき、明るい黄緑色のゴーレム、そして紺碧色のゴーレムを魔法紋より呼び出す。
「俺の「アオウ」だ、お前の様に西の死の海にある海底の地下大迷宮より俺が持ち帰ったものだ」
その言葉にアキラは驚く。
「もう一つ有ったっていう幻のイグドラシルの地下迷宮を探索したのですか?」
滅多に見知らぬ者とは喋らないチャアが驚きの声を上げる。
「「アオウ」がいなければ、おそらく帰っては来れなかっただろうがな、お前のゴーレムは?シャトルーズだったな・・この色・・覚えていたのか?」
「ああ、お袋の指輪と酒の色だ忘れないよ・・その後すぐ親父、あんたが行方不明になったんだからな」
「シャトルーズ・グリーンだな綺麗な色だ。その力、見せてもらおう」
二騎のゴーレムは大空へとまい上がっていった・・。
どうか次回もよろしくお願いします。
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