南北を分断する長壁の要塞都市「バリキシメト」(7)
更新いたしました。
「黒い炎・・」
アキラは振りかざされるヤガーの漆黒のアダマンタイトゴーレムの剣に何か怨念の様な物を感じていた。
「ぐ・・」
「アキュラ、今は飛び上がっては駄目です、しっかり踏ん張って剣にオーラを込めて耐えて下さい」
チャアのアドバイス通りしっかり踏ん張り剣にオーラを込めその黒い炎をまとった重い剣を抑える。
「ふ・・、やはりこの前は退いて正解だったな、この剣に耐えるとは」
ヤガーの呟きが聞こえたその時、巨大な城壁の向こうからゴーレムの部隊が編隊を組んで飛んでくるのが目に映った。
「ここまでか」
悔しそうなヤガーの叫ぶが聞こえると漆黒のゴーレムは切り捨てたアイアンゴーレムに装備されていた飛行ユニットを左手で無造作に掴むと東の空に向かって飛び立っていった。
「随分と余計な時間がかかってしまったが・・これで出発出来る、先程はありがとう助かったよ」
カーメルは隊商の先頭を見ながら話を続ける。
「東の海岸線の防衛部隊がほぼ全滅させられていたそうだ、先程の一騎のゴーレムにだ・・、君のゴーレムはただのロックゴーレムではないな・・」
「いえ、綺麗な色をしたロックゴーレムですよ・・」
アキラの答えにカーメルは溜息をつきながら。
「部隊を壊滅するようなゴーレムと互角に戦えるロックゴーレムねえ・・、私の価値観が壊れたよ・・、これからは怪しげな色をしたロックゴーレムは必ずテストする様、部下に言い含めておくとするよ」
カーメルは上空で警護するミスリルゴーレムの部隊に手を振りながら隊商を再び進行させた。
「さあ、着いたぞ話を通してくるから暫く此処で待っておいてくれ」
そう言うと城壁の門の検問所にカーメルは向かっていった。
「近くで見ると一段と巨大だな」
そのままゴーレムも歩いて通れそうな巨大な門が開いてゆく光景にアキラが見とれていると二騎のゴーレムが舞い降りてきた。
その内の一騎は紺碧色の龍の様なゴーレムだった。その様子に気が付いたのかカーメルは慌てた様に検問所から飛び出して降りてきた男にハグをすると楽しそうに語りだしていた。
「何者なんだ・・」
アキラは、かなりの距離が有りカーメルがこちらを指差したその男と目が合った瞬間、背筋に冷たい汗をかいていた。
更にカーメルと男がこちらに歩き出し近づいて来るとその緊張は頂点に達した・・。
そして、後、7、8メートル程の間合い・・そう「間合いだ」、になると更に間合いを取る為に後方に飛び降りてしまった。
「ほお、私の間合いが分かるのか」
その黒髪の男はアキラを見つめながら微笑んだ。
どうか次回もよろしくお願いします。
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