南北を分断する長壁の要塞都市「バリキシメト」(3)
更新いたしました。
「まず、お茶でも、こんな所で会ったのも何かの縁だ」
アキラはカーメルの見るからに仕事が出来そうな使用人に前後を囲まれながら「アン商会」の応接室へと通された。
お茶を出され寛ぐよう促されるなか何か良い言い訳わないかと思案していると、ラートリーが事実のみで口を上手くはさんでくれた。
「アキュラは私の依頼でこの地迄来てもらったの・・、「アンマ」の地下迷宮で主人が無くなったので主人の故郷迄運搬をお願いしたの・・」
「ほう、「アンマ」から来たのか」
出されたお茶を飲みながらカーメルはラートリーとアキラの腕輪、そしてチャアをと目線を繋ぐ。
「「ぜら・あな」商会は関係ないんです・・、個人的に引き受けてこの街にやってきたんです」
「で、「ぜら・あな」商会は君に「アンマ」で何の仕事をやらせてたのかい?」
アキラは困ったような表情をさせ一呼吸おいて答えた。
「申し訳ありませんが、それはお答えできません・・」
「なるほど、話せないと・・、増々君がアンマで何をしていたか興味が湧くが・・守秘義務が有るのなら仕方がないか・・」
カーメルの言葉にアキラは想像以上に上手く「わの国」との海戦が有った事を誤魔化せたのではないかと一安心していた。
「今、この地は獣人達との大規模な戦闘を支え物資の確保及び運搬をになう拠点として重要性を増している、そこで私自らおもむき仕事をこなしているのだが人手が欲しい、どうだろう・・どうせエルフ達に君は無理矢理転移させられて使われているのだろう、同じ異邦人、人類同士、私の商会で働いてみないかい?」
アキラはカーメルの言葉に少し驚きしかし首を振りながら答えた。
「確かに無理矢理でしたが、召喚した人は既に亡くなっていて・・困っていた所をずいぶん良くしてくれた、そんな方々が「ぜら・あな」商会にはいるんです。申し訳ないですが・・今はこのままでいたいと思います」
「・・なるほど、君には君の経緯いが有るという訳か、しかし・・」
一旦、口籠るが意を決したようにカーメルは続ける。
「獣人達との戦いが一段落したら東の大陸でも再び戦いが始まるだろう、その時君は同じ異邦人と戦いあわなければならなくなる可能性が高いんだよ・・わかるかい?多分これが最後の分岐点となるかもしれないんだ、依頼を済ませたらもう一度是非尋ねてほしい・・」
「魔核の粉と保存食、最高の物を持たせました」
使用人の報告にカーメルは頷くと、何かを尋ねたそうにしている様子に。
「何か?」
と答える。
「いえ、いつもの支配人とは違って個人的に振舞われていたので・・」
「そうか・・そうだろうな、あの黒髪の少年、私の国防長官の友に重ってしまう・・、多分日本人で間違いないだろう・・そういう事だ」
そのままアキラはシュミーの生まれた村に向かって街を出て行った。
どうか次回もよろしくお願いします。
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