南北を分断する長壁の要塞都市「バリキシメト」(2)
更新いたしました。
「おはよう」
アキラが挨拶するとラートリーがハッチを開き顔をのぞかせ周りを見渡しながら答える。
「おはよう・・まだ暗いじゃない、もう着いたの?」
「ここは多分君が知っているだろう街の海岸から少し内陸に入った所だよ、もう少し先に行けば道らしきものが有る、ここからは道案内を頼む」
ラートリーが本体から飛び出し空に舞い上がるとアキラはハッチを閉じたゴーレムを収容する。
「ありがとう・・」
ラートリーがアキラの左肩に乗るとチャアも右肩に乗る。
「この格好で道を歩いて変に思われないかな・・」
「アキュラは異邦人だから大丈夫じゃない」
チャアが答えると、ラートリーも答える。
「フェアリースライムを複数従えている商人とか冒険者も居ますので大丈夫だと思いますよ」
「そうか・・、では薄明るくなったら道に出て街を目指そう」
「ええ、街にいたら何とかなると思います」
ラートリーは安心させる様に少し微笑みながら答えた。
昼前になってやっと街に着くと、ラートリーはシュミーと共に大陸を離れる前に訪れた街で間違いなく、ここにある孤児院で数年暮らしていたといってそこで挨拶をしてから両親の墓のある故郷の村を訪れていたそうだ。
「街に入って携帯食を手に入れたいんだが・・、大丈夫かな」
「露店も有ったと思うから、心配ならそこで買ったらどう?」
心配そうにするアキラにラートリー答える。
「この前ここで魔核の粉も買った?」
「店の場所が変わってないなら案内できると思うわ」
するとチャアがラートリーを厳しい目で見つめながら。
「アキュラは前の街で酷い体験をしたからなるべく人に接しない様に案内を頼むね」
と付け加えた。
街の入り口の門番には特にとがめられる事もなくアキラは街に入ることが出来た、もちろん登録プレートを首にしたままだったのだがゲートはなかった。
通路を歩いて行くとすぐに異邦人しか歩いていないことにアキラは気づいた。
「ここは、最前線へと向かう手前の宿場街なんだね」
小声でラートリーに話すと。
「たしかに、前に来た時よりずっと軍人らしき人が多いわね、戦いが大きくなっているのかな?」
「みたいだね・・」
「あ、その角を曲がった所に店が有るわ」
角を曲がると比較的大きな店が目の前に現れた。
「ここは・・」
「どうしたの?」
「アン商会・・」
「あ、ほんとだ「アン商会」に変わってる・・、止める?」
「いや、入ろうまさかこんな所に知っている人が居るるはずないからね」
そう言うとアキラは店に入って行った。
中で魔核の粉を注文していると奥から見知った人物が声をかけてきた。
「これは・・驚いたな「ぜら・あな」商会は「わの国」でも商売を始めるつもりなのかい?」
その声の主は「アムスの街」で会っていた総支配人のカーメルだった。
新章での新たなる展開、どうか次回もよろしくお願いします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




