暗黒大陸イグドラシルの地下迷宮「アンマ」(4)
更新いたしました。
淡く緑色に光る湖面を見つめながらアキラは死を覚悟する、チャアに話しかけようと振り返るとチャアは足元に倒れ眠っていた・・その身体を優しく持ち上げると自分のサバイバルキット収納パックを開き納め担ぐとゆっくりと湖畔を背に小剣を二刀抜く。
(少しでも、最後の瞬間まで足掻いてやる)
魔獣達の激しい共食いが続く中こちらに気が付いた素早そうな小型の魔獣が向かってくる。それをギリギリの距離まで間合いを取り左へと飛び躱す、更に躊躇する事無くバランスを崩し反転しようとする魔獣の心臓が有るだろうと思われる位置に剣をさす。
「まず、一匹・・」
極限まで高められた集中力で魔獣の群れを凝視するその時・・。
緑色をしていた空間の光が薄い黄緑色へと変わっていきそして湖の中央の水面が音もなく膨らんでいきそして・・眩い緑がかった黄色に光る人の形をしたものが浮かんでくる。
足を揃え両手と指をを広げ何かを叫んでいるかの様な姿にアキラはこれまでに経験した事のない畏敬を感じていた。
(シャトルーズ・・?)
アキラは何故か感じ理解できていた、一回り大きくなり少し姿の変わっているシャトルーズこそが、この階層の地底湖の主人そのものなんだと・・。
周りから湖の波の音以外の音が消えていた事に気が付き周りを見渡すと魔獣達もシャトルーズを微動だにせず見つめていた。
シャトルーズの目が輝くと水面からもう一体、眠っているかのように横倒しになった深い黄色のミスリルゴーレムがシャトルーズの前に浮かんでくる、そしてそれを浮かんだまま抱きかかえるようにシャトルーズが手を伸ばす。
・・やがてシャトルーズが湖畔に舞い降り深い黄色のミスリルゴーレムを下ろし動きを止めると、魔獣達は静かにそれぞれ降りてきた通路に向かって歩みだしていった・・。
シャトルーズが放つ光は少しずつ弱くなり地底湖は以前の様な姿へと変わっていく・・。
「アキュラ、何で私は鞄の中にいるの?」
背中からもぞもぞとチャアが声をかける。
「眠ってたんだよ」
「そうなの?・・、あっ!シャトルーズ・・、なんか大きくなって姿も少し変わってる」
「チャアの本体は大丈夫かい」
「ん、大丈夫と思うけど先程の記憶は少しないけど・・」
「シャトルーズの中は以前と変わってないかい?」
アキラが問うと。
「問題なく同調できてるけど・・、前、開いてみるね」
今まで通り前が開きチャアの本体も変わりなくプルっと揺れていた。
「チャア、ラートリーと交信できるかい?」
アキラがチャアに倒れているミスリルゴーレムを指差し尋ねると。
「今は無理だよ・・ラートリー、泣いてる」
・・そう悲しそうに返事をした。
どうか次回もよろしくお願いします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




