暗黒大陸イグドラシルの地下迷宮「アンマ」(2)
更新いたしました。
「これはどうかな、食べれそう?」
魚のすり身を団子状にした物が入ったスープをアキラがシュミーに差し出す。
「これはどうやって?」
「湖の小魚は強く魔力を帯びているから食べない方が良いらしいけど、湖に注ぎ込まれている上層階からの湧き水なら飲んでも大丈夫そうだし、そこから流れてくる魚なら食べても問題なさそうだからスープを作ったんだ」
そっとスプーンで口にすると。
「大丈夫、食べられそうよ・・、沢山は無理だと思うけど・・」
「良かった、オーラがほとんど出てなかったから・・」
ラートリーがほっとしたように呟く。
「しかし、これからどうしたら良いんだろう」
アキラの問いに、チャアは。
「今は、どちらのゴーレムも使えません。上層階に行ったら動くコーレムでも捕食できる大型の魔獣が降りてきていると思うし・・暫くはこのまま我慢して待ちましょう・・」
「シャトルーズが戻ってくるのをかい?」
「はい・・」
「二人の食事は大丈夫なのかい?」
「私達が逆に湖の水を吸収していれば大丈夫そうです」
フェアリースライム達はそれぞれが顔を見つめながら頷いた。
それは突然起きた・・うっすらと白く輝く湖の水が緑がかった光に変わり瞬く間に深い緑色の輝きへと変わっていった。
「何がおきているんだ!」
アキラが叫ぶ。
二人のフェアリースライムは口々に叫ぶ。
「わからない」「わかりません」
「シャトルーズはどうなってる?」
「変化は・・、特には感じない・・でも湖の魔力は上昇してる」
「参ったな・・」
アキラは頭を搔きながら水面を見つめていた。
「何だかあれから丸一日近くもたつけど水面からゴーレムが出てきてないですよね」
ラートリーが不安そうに呟く。
「だよな・・、ずっとこのままなのかな・・」
「そんな事になれば、この迷宮の生態系が狂って大変なことになりますよ」
「そうです!世界の魔石が枯渇します!」
チャアも恐ろしさを両手を振り広げて表現した。
しかし、その変化は変わることなく数日が過ぎた・・そして、上層部に繋がる通路の幾つかで魔獣の叫び声が聞こえてきた。
「なんか、やばいよ」
「腹を減らした魔獣が下ってきているようですね」
「チャア・・」
「シャトルーズがなければとても撃退できる相手ではないと思います」
「もう、そこまで魔獣が来ているのか・・」
横たわっているシュミーが目を開いて周りを見渡す。
「かなり近くの階層まで来ているみたいだ」
アキラが答えると。
「アキュラ、私が戦おう・・」
「何を言ってるの貴女のオーラでは戦えない、これ以上オーラが弱くなると私の本体が貴女の命までも吸収してしまう!・・貴女がゴーレムを操っている時は自分の意志では止められないのよ」
ラートリーが泣き叫ぶ。
「俺が代わりにゴーレムを扱えないのか?」
シュミーが苦笑いをしながら答える。
「私を殺して腕輪を奪えば可能だよ」
「そんなことできる訳が無い」
今度はアキラが叫ぶ。
「ラートリー頼む、どのみち私は長くなさそうだ・・最後は騎士として死なせてくれ・・」
その時一匹の大型の魔獣が通路より姿を見せる・・シュミーの命をかけた闘いが始まる・・
どうか次回もよろしくお願いします。
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