滅びゆく国(4)
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「いけない!」
チャアは慌てて背中の鞄から水筒を出す。
「これ腰にもぶら下げられるから」
そう言って水筒を渡すと鞄の中に入り込んだ。
「どうした?」
「もし私が見つかちゃたら、殺されちゃう」
10メートル近くある銀色に光る人型の飛行体は街道の避難民が最も多い場所に着陸した。
「ミスリルゴーレム、昨晩夜襲を掛けてきたゴーレムよ」
白銀のゴーレムは何かを避難民に命令している、・・そして地面に砲撃を加えた。
「なんて言ってるんだ」
「この中にゴーレム乗りが隠れてないか、居たら姿を現せって言ってるわ」
「敗残兵狩りか・・」
更に地面に砲撃を加え衝撃で避難民達が吹き飛ぶ。
「どうやって見つけ出すつもりなのか、皆殺しにするつもりか?」
「ゴーレム乗りは強いオーラ(魔力)をまとっているの、あの位では吹き飛ばないから居たらすぐバレてしまう」
「俺達もか」
「いえ、まだゴーレムと同化して無いから半分以下だと思う」
「あれじゃ死人が出てるぞ、国が亡ぶとどこの世界でも同じだな」
「異邦人がゴーレムを使って戦争をするまでは、ここまで大規模な闘いは無かったし、少し前まではもっと整然とした戦いが行われていたわ」
その時、一体のゴーレムが魔法紋より現れた。
「アイアンゴーレム」
チャアが叫ぶ。
避難民が逃げ惑う中二体のゴーレムの闘いが始まった。
「空を飛べるミスリルゴーレムにアイアンゴーレムでは勝ち目がない・・」
さらにチャアが辛そうに語った。
「あぶりだされたのか・・、アイアンゴーレムは飛べない・・話にならないじゃないか」
しかしミスリルゴーレムは地上で剣を抜いた。アイアンゴーレムも剣を抜き双方が対峙する。
「どういうつもりだ、あえて地上で戦うのか?」
アキラがチャアに問いかける。
「自分のゴーレムと技量に自信があるんだと思う」
双方の剣から光が放たれる。
「あれがオーラ(魔力)よ」
明らかにミスリルゴーレムの方が禍々しいオーラを放っていた、そして二体は剣を交える。
「手を抜いている・・、わざと時間をかけて・・」
アキラは闘う二体見つめながら呟いた。
「他のゴーレムをおびき出そうとしているんじゃ」
チャアが悲しそうに答えた。
なぶり殺しされようとするアイアンゴーレム・・その時薄く青みがかったゴーレムが街道の向うの空から飛行してきた。
それを確認するやアイアンゴーレムを両断し空高く舞い上がるミスリルゴーレム、二体の空中戦が始まった。
「あれは、£∇Θ£☬」
チャアが身を乗り出して叫んだ。
ゴーレムの空中戦が始まる・・。
どうぞ次回もよろしくお願いします。