自由貿易港湾都市「アムス」(7)
更新いたしました。
ビガンが報告の為に本店に戻って数ヶ月が経っていた。アキラは今日も港でシャトルーズを使い積み下ろしの仕事をしていた。
海の向こうから黒船が入港してくるのが見えてくる、しかもその黒船になびく旗は「ぜら・あな」商会の旗だった。
(結局、中古の黒船を購入したのか・・)
クレーンを使ったコンテナの積み下ろしてと検査の間は待機中となるのでアキラはシャトルーズを降り休憩をしていると、接岸した黒船からビガンが降りてきて港の役人に書類を渡していた。
(ビガンさん帰って来たんだ)
ビガンがシャトルーズを見つけるとアキラの元へとやって来た。
「アキュラ、今回はずいぶんと時間を取られてしまいなかなか戻れなくて申し訳なかったですな」
「いえ、黒船を購入されたんですね」
「とりあえず、河川と近海用に一隻だけ購入いたしました、まあ、船員の訓練用も兼ねてですが」
「それでは遠洋航海用は?」
「現在この大陸で大型船を造船できそうな造船所は南のドワーフの国「ハサン」のフェロの街位しか有りませんので・・、現状ではこれ以上「わの国」から購入する訳にはいきませんし・・」
「そこに発注するんですか?」
「ええ、あの黒船はここでの積み下ろしが終わったらフェロの港に出航いたします・・、でアキュラにお願いが・・」
「え、何です?」
「こちらに」
すまなそうに黒船に向かって歩き出すビガンをシャトルーズ収納し慌ててアキラは追いかけていった。
「アキラ、お久しぶり」
笑顔で甲板から手を振るパーナ王女の姿がそこにあった。
「明日には降りられるから、街の案内よろしくね」
驚くアキラにビガンが詫びる。
「出航迄の二日間、街の案内をどうかよろしくお願いいたします」
手を振るチャアと頭を下げるビガンにアキラは頭を掻きながらも了解するしかどうしょうもなかった・・。
翌朝、アキラは黒船のデッキの前で役人が登録プレートを持ってくるのを待っていた。すると役人が現れ三名分のプレートをそれぞれ「パーナ」「キラ」「トロフ」と名前を呼びながら一人一人デッキの前で手渡していった。
「アキラ、お久しぶりね今回もよろしくね」
そのパーナの態度にキラが驚き進言する。
「パーナ様、そのようなくだけた口の利き方は・・」
「あら、この街ではお忍びで出歩くのよ、いつもトロフと会話してる様に私にもお願いね」
「パーナ様・・」
「パーナよ!」
その様子を見て横でトロフが豪快に笑う。
「キラ、ここは自由都市だそうだ、私達だけで街に繰り出してる時の様にいこう」
「トロフ・・」
「この前の様に、アキラと二人で街を散策したいと言ったのに・・、ここは異邦人の街だから付いて来るって・・」
そう言ってつまらなそうな表情をするパーナに二人が同時に。
「当たり前です」
と叫んだ。
アキラは大変な一日になりそうだと三人のエルフの女性を見つめながら苦笑した。
どうか次回もよろしくお願いします。
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