自由貿易港湾都市「アムス」(6)
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「ほう・・」
ラーバンが声を発する。
ビガンが顔を青ざめながら指の複数の指輪を見つめ叫ぶ。
「魔力は感じなかった・・魔封じの指輪も反応は無い・・」
「イアイ・・、武技です魔法じゃない」
アキラがビガンに答える。
「やはり、日本人か?、良く技の発動を見切れたものだな」
ラーバンが意外なものを見る様にアキラに微笑む。
「体が勝手に反応しただけだ・・」
アキラが答えると、横からインド系金髪女性の異邦人がラーバンの顔色をうかがいながら注進をしてくる。
「大隊長、この街でのトラブルは来週に控えている将軍への任命式に差し支えるかと」
「シュミーか・・すまんな、昔の古傷が痛んだものでな」
ラーバンが杖で自分の左足を軽く叩いてみせ、そしてビガンを睨む。
「暗黒大陸に流刑される際に船が難破したが・・私は「わの国」に助けられ隊に入り修行した、いつの日にかお前達に復讐するためにな」
そして、アキラを見つめながら。
「日本の異邦人、もしこのまま「なぁの国」に与して戦場で会う事になるなら容赦はしない、よく身の振り方を考えておくのだな・・、店を出るぞ」
そう言うと部屋の奥の止り木から一斉にフェアリースライム達が飛んできてそれぞれの騎士達の肩にとまり、「わの国」の騎士団はエレベーターホールへと向かっていった。
「アキュラがいなければ今頃、すまなかったな年甲斐もなく逆上してしまい・・、」
誰も居ない商店に戻り腹に塗り薬を塗りながら詫びていた。
「いえ、何か深い訳が有るのでしょう?」
「あのラーバンは前王様の前妻の次男、パーナ王女の異母兄妹となります」
「え、王族だったんですか?」
「今から10年ほど前、ゴーレムの評価と国の防衛の問題で対立となりもともと意見の合わない長男と次男で内戦となったのですよ」
「ゴーレムがですか?」
「むろんそれ以外の確執もあったのですが・・、その戦いで長男は戦死、王も傷を負いながらも国宝の「ビル」を使用することで戦いに勝利しラーバンは魔獣の巣くう暗黒大陸に流刑となったのですが」
「そんな事が・・」
「そして、王も亡くなられ・・、後を追う様に王妃も亡くなられたのです」
「それで、我を忘れていたのですね」
「はいその戦いの後、私は騎士団を去り商人としての道を選んでおりました国の復興の為に・・」
「また騎士に戻られるのですか」
「わかりません、しかし国が騎士を求める事態となるならば再び・・」
「あの男「わの国」の将軍になると言ってたわよ」
チャアが二人に部下のシュミーが言ったセリフを投げかける。
「再び我が国が戦火となるのかもしれません」
ビガンの国に対しての信念をそしてラーバンの復讐心の恐ろしさを噛み締めながらアキラは様々な思いを抱いていた。
どうか次回もよろしくお願いします。
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