滅びゆく国(3)
更新いたしました。
眠りから覚めた俺は、ここが夢ではないと思い知らされた・・。
「おきて、アキュラ・・おきて、アキュラ」
可愛らしい妖精が胸の上で飛びながら話しかけていた。
「ああ、おはよう・・」
「早く着替えて、日がもうすぐ昇るわ」
王族の逃走用に備え付けられていた倉庫で服を選びながら眠ってしまった事を思い出した。
「ああ、サイズが合うのを選んでいると思うから少し待ってくれ」
(一般的な服ってこんなのなんだな麻で出来た服って感じか、色はやはり茶色系か・・)
「そういえば、お前の名前はなんて言うんだ?」
「私は、£∇йф」
「・・なんか、擬音にしか聞こえないんだよな、チャ?茶?チャア?」
「£∇йф!!」
「チャアでいいかい?」
「茶ではないですが異邦人にチャアと聞こえるならチャアで良いです」
「多分念話以外で会話するとお互い叫び声や鳴き声にしか聞こえないんだろうな・・、剣は武器は持っていった方がいいかい?」
「武器は小剣を二つほど選んでください、鞄に必要いな物が入っているので忘れずに持って来て下さい」
重そうな鞄を背負い小剣が二つ備わっているベルトを腰に巻いた。
「これでいいか?」
「しばらく水や食料は鞄の中の物しか有りませんから、こちらに用意した物を食べておいてください」
「ああ、すまない」
腹が減ってたのですみにあったテーブルの上に有る水らしき物と乾パンの様な物を全て食べたがあまり美味しくはなかった・・。
「街に行けば美味しい物が用意できると思いますが・・」
「ああ、今はそれどころじゃないんだろう」
「ではこちらの転移紋に」
「前のマスターはこのままで良いのかい?」
「はい、外よりこの場所の方が・・それに多分もうここに入って来る者はいないと思いますから・・」
チャアが仰向けにして腕を組ませたのか、横たわる美しい人を見つめ会釈をしながらチャアが待つ輝きだした転移紋に足を運んだ。
そこは小高い丘の山頂で今まさに朝日が昇る所だった。
「俺達の居た世界と特に変わった感じがしないな、遠くに見える破壊された城と城下町を除けば・・」
「あの城が昨晩夜襲をかけられて全てを無くしてしまったマスターの城です」
「城下町の手前に大きな鎧人形の様な残骸が沢山見えるがあれが俺たちの世界の者が生み出した兵器なのかい?」
「はい、宮廷騎士達のゴーレムです」
「あれに乗って闘えと・・」
「・・はい」
「・・、とりあえず君の知ってる俺達と同じ世界の異邦人に早く会ってみたいよ」
「では、急ぎましょう、・・頭に服のフードを必ず被っておいて下さい避難民の中に紛れ込んでおきたいですので」
「わかった、案内してくれ」
丘を下ると遠くの街道らしき道に多くの避難民達が見えてきた・・が、その上空に銀色に光る人型の飛行体が迫ってきていた。
旅立つアキラ、そこに待ち受けるゴーレム達。
どうぞ次回もよろしくお願いします。