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自由貿易港湾都市「アムス」(3)

更新いたしました。

  「前方に見えるデッキ内部のコンテナ収容スペースで、より大量の商品が一度に運搬できる仕様となってます」

黒船の大きな操舵室にて「アン商会」の代表カーメルみずからが見学案内された商人達に説明する。

「この後湾内を周回いたします。既に船内も御案内致しましたが、航行中の機関室も御案内を予定しております。暫くの間お茶をご用意いたしましたのでそのままでお待ち下さい」

皆、操舵室の後方に臨時に設けられた椅子に各自が腰かけ雑談を始めたり出航の様子を興味深そうに眺めたりしていた。


「どうだね、黒船は」

ピガンが尋ねる。

「ええ、立派な船ですが鉄製かと思ったら黒い塗装で塗られた木製だったんですね」

「鉄製の船は、見た事有りませんな」

「この船で大陸間の航海をするんですか?、なんか怖いな~」

その時、カーメルが二人の会話が聞こえたのか近寄って話しかけてくる。

「大型船が接岸出来る様「アムス」の南側の城壁を更に南に移し街の面積を二倍に拡張する計画が有りまして、その時に合わせて大型の全鉄製の建造も進めている所です。もしご予算に余裕が有ればご検討いただいてもよろしかと」

カーメルの説明にピガンが尋ねる。

「その船は黒船の何倍のコンテナを運搬できるのですか?」

「最低でも五倍以上、政府は二十倍以上の船が接岸できるよう港を広げるつもりです」

驚くピガンから目線をアキラに向けさらにカーメルは。

「百倍でも私達は見慣れていたよな・・」

アキラに同意を求める。

「ええ、ですがこの世界でも同じ様な科学技術と産業形態を推し進めるおつもりなんですか?」

「おかしいかな?」

「折角、魔法や魔力がある世界なのに・・」

「バッテリーに変わるものが最初から有るだけの世界だよ・・、その内魔力も科学的に解明されるよ・・我々にとっての快適な世界を作るべきだと思うが、私達はもう帰る事がかなわないのだからね」

そう言うとカーメルは別の席の商人の所へと向かっていった。



「こちらが機関室になります、風が無い又は逆風の時に有効なものとなります、現在はこの蒸気機関のみで航行しております」

機関室のリーダーであろう獣人の船員が大声で叫ぶ。皆、耳を塞ぎながら機関室を覗き見る。

「外洋でも問題なく航行できます」

皆は、耳を塞ぎながら次の案内を促していた。



デッキに案内されるとテーブルに簡単な食事とコーヒーが用意されていた。

「では再び接岸されるまで景色とこれから始まる催しを見ながらゆっくりとおくつろぎ下さい」

カーメルが満面の笑みを浮かべ挨拶をする。


アキラがピガンと景色を見ながら話していると、チャアが肩の上で小刻みに震えだした。

「どうした?」

アキラが尋ねるとチャアが空を指差し叫ぶ。

「黒いゴーレム」


チャアの指さす前方の大空に黒いゴーレムと白銀のゴーレム数騎が編隊飛行で現れた。




どうか次回もよろしくお願いします。


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