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死の商人に魅入られし国(10)

更新いたしました。

  「アキラ、次はあそこの店に行くわよ」

エルフ族の年若く見える整った顔立ちの美少女が笑顔でアキラの手を引っ張って行く。

「はい、アキラも一口食べてみて」

店の喫茶フロアーでテーブル越しにそう言いながらチャアやフィル、アルが見つめるているなかアキラの口元にスプーンを寄せてくる。

(俺は何故、異世界に来る前には決してかなわなかったドラマの様な美少女とデートしているのか?いや今しているのは王女の毒見をしているだけなんだ)

そう心に言い聞かせ口を開ける。

「美味しい、これアイスクリームじゃないか」

アキラが驚いて思わず声に出してしまう。

「今、この店の新作の菓子が評判なのよ、アイスクリーム?って異邦人では言うの?」

そう言いながら幸せそうにアイスを口にしていた。

「多分、異邦人達が作り始めたものだと思うよ、上品な高級店で食べるような味がしていた」

「やっぱり異邦人の世界の菓子なのね」

そう言いながらパーナ王女は品よくアイスを完食していた。


アキラはパーナ王女の民衆を装った店舗巡りの警護に付き合わされていた。

そう、アキラの部屋に遊びに来ていたフェアリースライムのマスターがパーナ王女であり視察の前に二人を捜しにアキラの部屋を訪ねて来た流れで夜勤前迄警護の任務につかされてしまっていた・・。


「次は、あちらの店に行きますよ」

パーナ王女が次に入った店は立派な門構えのアン商会の店だった。

「これはゴーレム乗りのお客様ですな、今日はどういったご用件で」

店内に入ると品の良い初老の異邦人の紳士が頭を下げながら接客してきた。

「新作の、ゴーレム用の装備品を見せて頂こうと思って」

パーナが礼儀正しく用件を伝える。

両肩にとまるフェアリースライムを見ながら紳士は答える。

「アン商会のセバスと申します、ご案内いたします」


広い自動車のショールームを思わせるブロックに案内されると様々なゴーレム用の装備品が並べられていた。

「これは素晴らしいですね」

パーナが目を細めて感嘆の声を上げる。

「選りすぐりのミスリル製の商品でございます、ご説明いたしましょうか」

その言葉にパーナは。

「飛行用の補助装備を見たいのですが」

「失礼ですが、パーナ王女様でいらっしゃいますか?、訪問の際は案内する様、カーメルよりいい使っておりますので」

「それは、ご丁寧に。では案内よろしく頼みます」

そう言ったパーナの目は女王としての目となっていた。



店を出るとアキラにパーナは問いかけてきた。

「どうですか?異邦人の開発した飛行ユニットを見ての感想は」

「そうですね、メインの魔力の排出口以外に様々な方向に小さな姿勢制御用の排出口が有りましたが・・、なんか扱いにくそうでした」

「もう一人、フェアリースライムが必要な位?」

そうパーナが問いかけるとアキラはハッとした目でパーナの両肩に乗るフェアリースライムを見つめた。

アキラの表情を見つめながらパーナは。

「いよいよ最後の商店に向かうわよ」



その向かう先にある商店それは・・ベル副組合長の店だった。





どうか次回もよろしくお願いします。


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