天に星 地に花 人に愛を(17)
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「奴らには、我々は眼中にないようだな」
下層階に入るとトルバリアが少し不満そうに口にした。
「いや、この先に我々の侵入を防ぐ鉄壁の防衛策が講じられているから素通りできたと考えた方が良いな」
トロフは少し飛行速度を落とし互いのフェアリースライムに哨戒監視にあたらせた。
「停止して下さい!」
突然、トルバリアのフェアリースライムが声を上げ、続いてトロフのフェアリースライムも声を上げる。
「この先に多数の魔法トラップを確認しました」
「どの候補地点に集中しているか解かるか?」
「全てです。この先の下層階エリア全てに多数のトラップと思しき反応が有ります」
「動かないで下さい。隠蔽されたトラップが目の前に有るかもしれません」
フェアリースライムの厳しい状況を伝える応答が続く。
「さて、どうする?」
トラップに精通しているトルバリアがトロフに意見交換を持ち掛ける。
「すまんが、私はトラップに関しては知識に乏しい。助言をもらえないだろうか?」
トロフの問いかけにトルバリアが乱暴な方法を提案する。
「時間が限られている場合、一騎が犠牲になりなるべく多くのトラップに引っかかり他の者の為に道を開く・・我々は常にそうしてきた」
「なるほど、では私が先行しよう」
「駄目だ。貴方はトラップにはなれていない。経験値の高い私でなければ最後まで道は開けない。もう一つ、問題はどの道を選ぶかという事だ」
「候補地点を一つに絞らなければならないという事か・・」
トロフはトルバリアの提案にしばらく考え込む。
「チャア殿と共有した知識を総合すると、どの地点が一番守りが硬いと思えるか答えてくれ」
トロフがフェアリースライム達に問いかけると其々が同じ回答を出した。
「決まりだな。私が先行する少し距離を取って飛行操作はフェアリースライムに任せてついて来てくれ」
そう言うとトルバリアは選んだ候補地点へと強硬飛行を開始した。
皆の帰還ルートの確保の為、アレンとジルは、ホウ(犼)とピーファン(畢方)が出現したランディアの海底迷宮の侵入口を発見し待機していた。
「もうかなりの時間が経過したぞ。アレン、もう少し奥まで侵入しておいた方が良いのではないか?」
ジルの言葉にアレンは少し溜息をつきながら答えた。
「退路を確保しておかないと、全滅の危険性が有るだろう。その為に我々はここに居るのだから。待つことも任務の内だろ」
「進入口を確保し続けるのが任務だけど、全くなんの反応が無いんだぜ」
「此処にかまっている余裕が無いんだよ。良い知らせだと思わないとな」
アレンの言葉は正しかった。監視役のバイゼー(白澤)は下層階の防衛に全神経を集中させていたのだから・・。
最終章十七話目となります、どうか最後迄よろしくお願い致します。
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