天に星 地に花 人に愛を(16)
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(何だ貴様のゴ-レムは、既にボロボロではないか)
グーンドゥーン(渾沌)はラーバンの黒いアダマンタイトゴーレムの姿をあざ笑っていた。
「そう言う割には空から距離をとって身構えている様だが」
ラーバンは静かに身じろぎせず言葉を発した。
(わかっているぞ。居合だな、その構えは・・わざわざ地上に降りて、貴様の間合いになど入ってやるつもりはない)
更にグーンドゥーン(渾沌)はラーバンをあざ笑う。その瞬間、アダマンタイトゴーレムは大地を蹴り宙に舞うと居合を発動した。
その切っ先から放たれた魔力は刃となりグーンドゥーン(渾沌)を襲う。
(貴様!)
その手に持つ大きな鉈を一太刀犠牲にして直撃を避けグーンドゥーン(渾沌)も怒号の後に静かに言葉を発した。
(その様な技、その武具どの様にして手にした)
「腕の良いドワーフがいて、その魂の武具を装備させてもらった」
(その武具、我が物としよう。貴様を葬ってからな!)
そう叫ぶとその複数の手に持つ残りの大きな鉈をアダマンタイトゴーレムに向かって投擲武器として使用した。
ラーバンは再び居合の切っ先にのった魔力の刃で全てを弾き返そうとしたが、弾かれた鉈は意思があるかのような挙動を見せ再び回転しながらアダマンタイトゴーレムに迫ってくる。
「む!」
その装備した細身の刀身では防御出来ないと悟ったラーバンはアダマンタイトゴーレムの片腕の犠牲を覚悟で手刀で対応する。
(我が武具も特別製でな遠隔操作が可能なのだよ)
勝ち誇ったようにグーンドゥーン(渾沌)は再びほくそ笑む。
(その腕で再び抜刀術を放てるのかな?)
アダマンタイトゴーレムは無言で抜刀の体制に入る。
グーンドゥーン(渾沌)は再び上空から複数の大きな鉈を投擲する。その瞬間、ラーバンは壊れた飛行ユニットを破壊させ最後の爆発的な推進力を得る事をフェアリースライムに命じて、ロケットの射出のごとく一直線に飛び上がる。
(なっ?)
バラバラに砕け散っていく飛行ユニットの衝撃を巧みなバランス感覚で一気にグーンドゥーン(渾沌)に迫り横切っていく・・。
思考するまもなくグーンドゥーン(渾沌)の獣の頭と2対の大きな翼、二対の腕を持つゴーレムの身体は上下に分離してその中に寄生しているスライムの身体もまた逝き絶えた。
ラーバンの黒いアダマンタイトゴーレムもまた空中でバラバラに粉砕されていった。
「すまない」
自身のフェアリースライムに詫びを入れると、続いて。
「パーナ、アキュラと共に未来を築いてくれ」
そう口ずさみながらラーバンは走馬灯のように自身の過去を振り返っていた。
・・自分の中にある正義と欲望の為に父と兄と対峙した事、妹とビルに敗れ流刑にされた事、フジワラという師と出会えた事、再び復讐に身を委ねた事、そしてその人生全てを意味のないものにする存在を知った事・・
黒いアダマンタイトゴーレムは空中を突き進みながら四散していった。
最終章十六話目となります、どうか最後迄よろしくお願い致します。
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