死の商人に魅入られし国(9)
更新いたしました。
新装開店の準備に皆が慌ただしく働く中アキラはまかないの持ち帰り用の朝食を貰う順番待ちをしていた。
「ここにいたのか」
ニィーが袋をさげて声をかけてきた。
「えっ、おはようございます」
「ご苦労だったな、魔核の粉だ貰ってくれ」
そう言いながらアキラに袋を差し出すとチャアが満面の笑みを見せていた。
「ありがとうございます、これから買いに行こうと思ってたので助かります」
「酔っ払いのゴーレム乗りだったらしいな、今朝方雇い主のベル副組合長が直々に詫びに来ていた」
「ベル副組合長の店の者だったんですか」
「ああ、最近警備の為に雇い入れたそうだ、あんなに酒癖が悪いと思っていなかったそうだ」
「そうですか、でも俺は酔ってはいたかもしれないけれど故意に突っ込んできてたように感じられました」
「そうなのか・・」
「俺がそう感じただけで証明する事は出来ませんが・・」
「我々はやはり歓迎されてはいないという事か・・」
「皆さん重要な顧客に対して忖度している可能性がありますし、最近雇われていたのなら別の雇い主がいた可能性もありますね」
「とにかく今日、明日の開店祝いの催事をつつが無く終えなければならいからな」
「とにかく、今から仮眠を取って夜にはまた警備に来るよ」
「連続になるがすまない」
「昼はケイトさんの方が良いよ、面倒な要人も沢山訪問してくるのだろう」
「ああ、全く商店を開くことがこんなに大変だとは思わなかったよ・・」
頭を掻くニィーを後にしてアキラは朝食を受け取り宿舎へと帰っていった。
アキラが宿舎にあてがわれた自室のベッドで眠っていると何やらチャアが誰かと話している様な音に目覚めた。
「なんだいチャア、お客さんかい」
目をこすりながら見渡すと、そこにはチャア以外に二体の見慣れぬフェアリースライムがテーブルの上で笑いあっていた。
「おはよう、念話で話していたけど・・起こしてしまってごめんなさい」
謝るチャアに首を横に振りながら二体のフェアリースライムに「初めまして」と挨拶をした。
「久しぶりに会ったんで嬉しくて、二人は「なぁの国」のフェアリースライムなのよ」
「初めまして、フィルと言います」
チャアと同じぐらいの背格好のフェアリースライムが挨拶をした。
「・・初めまして、アルだよ」
年若い小さなフェアリースライムがはにかんだ様に近づいてペッコンと挨拶をする。
「初めまして」
思わずアキラはもう一度挨拶をしてしまていた。
「二人のマスターはお出かけなのかな?」
「・・うん、式典があるから今日は別行動だって」
「ゴーレムは今日は必要ないんだろうね、じゃあ休みだね」
ついつい、幼いフェアリースライムに合わせた口調になってしまうアキラだった。
どうか次回もよろしくお願いします。
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