天に星 地に花 人に愛を(14)
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「変だと思いませんか?彼等の闘い方」
迷宮の上層階で介護のかいあって意識を取り戻したトルバリアと魔力切れをおこし疲労困憊状態のトロフに様子をうかがいながらアキラが問いかける。
「そうだな、少し違和感を感じたな」
トロフが答えるとアキラが考えながらも問いを続ける。
「死を恐れていない様な闘い方に感じるんです」
「不死の生き物だから、その様な闘い方になるんじゃないのか?」
今度はトルバリアが答える。
「不死だったら逆に不測の事態に遭わない様に慎重になるんじゃないかと思うのですが」
「私達と同じで本体と分体に分かれているんじゃないですか?」
チャアが一つの回答を導き出す。
「それだよ。フェアリースライム同様にゴーレムの中に寄生している部分以外に分体があって、片方を失っても死なないんじゃないかな。だからそれが闘い方に現れているんだ」
「私達は本体を失うと分体も共に消滅しますけど」
チャアが少し釈然としない気持ちを伝える。
「分体が消滅しないから彼等は不死を続けられる。それが彼等の闘い方に現れていたんだ」
「なるほどね。死なないのではなく予備があるから死ぬことがないという事かい」
突然、アイの声が伝わってくると次にアルの声が響き渡ってくる。
「もうすぐ合流出来るよ。ラーバンのゴーレムを抱えてるからもう少し待ってね」
アルの高いフェアリースライムの能力がアキラ達とアイとの会話を繋いでいた。
「シャトルーズやビルがいれば魔獣達は襲ってこれないみたいだから、この場で休息と作戦会議を行うよ」
合流したアイは即座にビルから降りてくる。
「では偵察は私がします」
トロフの言葉にアイは首を振りながら話しかける。
「敵は襲ってこないよ。この先に彼等の分体がいるのならゴーレムの数は確実に減っているんだから離れられる訳にはいかないだろう」
「そうですが、万が一攻めてきたら」
「とにかく全員降りておいで」
そう言うとアイは既にサバイバルキット収納パックを開き食事を始めていた。
「晃、いいやチャアにだね。皆にこの先にある下層階の居住区のくわしい説明をして」
皆が食事をしている中、既に食事を済ませたアイがチャアに説明を求める。
「分体が居そうな場所ですね?」
「そうだ。ラーバン、トロフ、トルバリアは敵を突っ切りそこに向かってもらう」
「候補は複数ありますが?」
「チャア、それぞれ三か所に絞って伝えてくれ。武尊との人質交換に利用させてもらう」
「なるほど、それなら彼等は応じる可能性が有る」
ラーバンが今まで見せた事のない明るい表情で言葉を放った。
「トロフ、トルバリア、二人にとっては有った事もない人物だが晃の父で私の夫なんだ。危険な作戦行動になるが、どうかお願いしたい。この先の敵は私と晃で受け持つつもりだから」
アイの言葉にトロフ、トルバリアの二人とラーバンは真剣な表情で黙って頷いていた。
最終章十四話目となります、どうか最後迄よろしくお願い致します。
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