天に星 地に花 人に愛を(10)
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アキラ達が闘っている海底迷宮の上層階に向かってそれぞれに潜行してきたクエイ(夔)とグングラル(窮奇)は侵入者を察知すると迷うことなく斬り込んでいった。
(不協和音ばかり奏でおって、チーリン(黄麟)以外の侵入者共も我々の脅威となり得るという事か?)
牛の頭部に龍の身体を合わせ持つゴーレムに寄生するクエイ(夔)は、その両手に音撃棒を構えると、上層階で警戒監視していたトルバリアの純白に小さな黒い斑点のあるミスリルゴーレムと遭遇していた。
(無意味な・・、まさに諸行無常だな)
牛と虎の特徴を合わせ持つゴーレムに寄生するグングラル(窮奇)は、鎚矛を構えると、ビコウ、シャオ、チョゴのミスリルゴーレム達と対峙していた。
タウテット(饕餮)は羊の様な外形その全身に無数の光る瞳と無数の手が湧き出て薄い青緑のミスリルゴーレムと青いミスリルゴーレムに襲い掛かってくる。
「これがこいつの真の姿か!」
トロフは生理的嫌悪感をおぼえていた。
「ケイト、全ての手には小ぶりの肉切り包丁の様な剣を携えています」
フェアリースライムのビーがケイトに注意を促す。
「了解。モンスター、いえ正にデビルね」
襲い掛かるタウテット(饕餮)の無数の肉切り包丁をケイトは盾を巧みに使いながら一定の距離を保つ。
クエイ(夔)は両手の音撃棒を自身の角に接触する事によって強烈な放電を発しており、更にその音撃棒をトルバリアに振りかざすとその純白のミスリルゴーレムに猛烈な電撃が走る。
Langortの構えをとっていたトルバリアの剣に電撃が走り、さらに全身に電流が回っていく。
「牛魔王、いや雷神と呼ぶべきか」
魔法に高い耐性を持つミスリルゴーレムといえどもその威力は内部のトルバリアに伝わっていた。
グングラル(窮奇)は、鎚矛を回転させ烈風を引き起こしていた。その風は強烈なかまいたちとなってビコウ、シャオ、チョゴ、三人のミスリルゴーレムを襲う。
「牛魔王・・、風神か・・」
魔力を伴わない物理攻撃として損傷を受け思わずビコウは思わずうなっていた。
「ケイト!」
ケイトの青いミスリルゴーレムの盾が吹き飛ばされた時、思わずトロフは叫んでいた。
「まだだ、私にはまだ剣が有る」
ケイトは剣術式に両手で剣を持ちなおすとアイとの鍛錬で学んだ剣での防御に切り替える。
「奴の目だ。目をつぶすしか勝機がない。ケイト判るな!」
トロフは魔法を使用を試みる。
「生活魔法は、キラの十八番だったが、キラよ・・ライト!」
そう叫ぶとトロフはその己の魔力を全て剣に込め魔法剣として眩いばかりの閃光を放つ。
全てを理解し目を閉じていたケイトは「ブルーズ」をあたかも狭い空間内を曲芸飛行の様に飛ばし視覚を奪われたタウテット(饕餮)の認識外の空間から一気にオーラを纏った剣を突き刺す。
その瞬間、タウテット(饕餮)の無数の肉切り包丁を持った手が「ブルーズ」を捕食するかのように絡めとっていく。
(食ってやる・・食って・・)
そして、二本の巨大な肉切り包丁が「ブルーズ」を貫いた後、二体のゴーレムは共に動かなくなっていた。
最終章十話目となります、どうか最後迄よろしくお願い致します。
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