天に星 地に花 人に愛を(6)
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コンコン(龔工)の発する大洪水のなかサンミャオ(三苗)がアメンボのごとく荒れた水上で難なく行動できていた。
(ろくでもない任務だが、時間を稼がせてもらうぞ)
ポイン、ホーゾン、チューンは激流の中、散り散りになりながらもお互いの位置を共有しあっていた。
「この攻撃は、明らかに水上からの攻撃だ」
チューンの分析と報告にポインは答える。
「水中からも半魚人の様なゴーレムから攻撃を受けている」
「俺達ばかりが狙われているぞ」
ホーゾンは水上、水中からの同時攻撃に翻弄され続けていた。
この迷宮から次の回廊へと向かう入り口を敵の配置から類推してラーバンは水流を一気に突っ切り、通路を守るホァントウ(驩兜)の目の前に姿を現した。
(・・!)
ホァントウ(驩兜)は叫ぶ間も仲間と意識を共有する間もなく、ラーバンの黒いアダマンタイトゴーレムの魔力をのせた抜刀術によって上下に真っ二つにされてしまっていた。
「この先だな」
ラーバンはこの奥から迫りくるホウ(犼)の存在に既に意識を集中させていた。
「アキュラ、冷静に!この水流を生みだしているゴーレムを叩くしか有りません」
チャアの声にアキラは少し冷静さを取り戻していた。
「敵の位置はわかるか?」
「現在、推測中です。敵は移動しながら水流を放っているようです」
「あとどのくらい掛かりそうか」
「え、シャトルーズが解ったみたいです。向かいます」
「シャトルーズが?」
驚くアキラをよそにシャトルーズは水流をものともせず突き進む。
「見えた、あれか」
(チーリン(黄麟)!)
黄緑色に光り輝き迫りくるシャトルーズの姿にコンコン(龔工)は恐怖を感じていた。
(何故貴方が敵に!)
応戦するまもなく黄色いオーラ帯びた二刀のアダマンタイトの小剣にコンコン(龔工)は十字に切り裂かれていた。
水流が収まった迷宮内ではアメンボの様な足を持つ節足動物型のゴーレムのサンミャオ(三苗)はトルバリアによって、半魚人姿のゴーレムのクェン(鯀)はケイトとトロフに倒された・・。
やがて迷宮の水が抜けた奥底に、原型を留めないポイン、ホーゾン、チューンのゴーレムの姿がそこにあった。
「ポイン!ホーゾン!チューン!」
永く彼等と共に闘い任務をこなしていたケイトが絶叫する。
「遅かったんだ・・、もっと早く俺が対処できていれば」
肩を落とすアキラのシャトルーズにトロフが肩を叩きながらも諭す。
「これが戦場だ。任務遂行の為には振り返らず前に進み続けろ。たとえ最後の一騎になろうともだ」
アキラはこの戦いがこの様な性質のものだと理解していた。その筈だったにもかかわらず、その心は震え続けていた。
最終章六話目となります、どうか最後迄よろしくお願い致します。
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