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死の商人に魅入られし国(8)

更新いたしました。

  いよいよ新装開店前夜の大事な警備だ。昼食後に仮眠を取り夕食件夜食を取っていると本日の警備責任者が声をかけてきた。

「アキュラ殿ご苦労様です。本日の警備の人数は商品の搬入も終えているので用心の為三割増しの人員をさいております。目立っても構わないので正面入り口内の中庭で早朝の露店設営に入るまでゴーレムで見張りをして頂きたい」

「わかりました、裏の搬入口にはお任せできるのですか?」

「はい、いつもよりも多い警備人数を配置しておりますが万が一搬入口から族が侵入した場合は信号弾を放ちますので飛行して応援をよろしくお願いいたします。本日だけは既に貴重な商品の殆んど表の商店側に有りますので」

「では商店側をシャトルーズで巡回警備致します」

「よろしく頼みます」



月明かりが照らす中庭、シャトルーズの中でアキラはこの前の貿易商人組合での帰りの馬車の中での会話を思い出していた。

(今、この世界で行われている事は産業革命以降から第一次世界大戦迄の俺達の歴史を十数年で無理矢理進めているって感じなのかな・・、ゴーレムが戦車であり飛行機のポジションなのかな~、収納魔法があるから空母や戦艦は必要ないって事なのかな?)

(アキュラ、考え事ですか?)

チャアが聞いてきた。

(科学って言葉、聞いたことあるかい?)

(アキュラの居た世界での魔法に変わるものですよね、ケイトに聞いたことがあります。「ネット?が無い生活に慣れるのが大変よね」とか言ってました)

(確かにこの世界は情報が伝わるのは遅そうだよね、ゴーレムの飛行ユニットってこの前パッタさんが教えてくれていたけど・・こんな情報も商人が一番早いんだよね)

(その帰りに浮いて飛ぶのと飛行ではその機動性が全然違うってアキュラが説明してたわよね。私はシャトルーズで飛行するって知ってたからその差がとても大事だとわかったわ)

(チャアは経験済みだからね、新しい技術による大量生産を進めている異邦人についてはどう思う?)

(それも馬車で言ってたわね・・沢山作って安くなるのだったら良い事尽くめだと思うけど・・)

(でもそれだと異邦人に富が集中して安い大量生産品しか皆が買えなくなっちゃってお金でも支配されてしまうよ)

(・・難しい、昔よりずっと良い様に感じるけど・・)

(せっかく、生活魔法で冷蔵庫が有ったり、洗濯できたりして豊かな生活を送っていたのに・・、そういえば魔力って枯渇する心配はないの?)

(え、考えたこともないわ・・)


その時、ふらふらとしたアイアンゴーレムが突然大通りに現れこちらに突っ込んで来るのが見えた。

アキラはシャトルーズで素早く飛行し正門を破壊したゴーレムの敷地内への侵入を阻止する。



「こいつ凄く酔っぱらっているぞ」

侵入者を確保した警備員達が呆れたように呟いていた。







どうか次回もよろしくお願いします。


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