雨過天晴(うかてんせい)〔9〕
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「ビコウ、シャオ、チョゴ、ヘンリー、ノア、エマ、ポイン、ホーゾン、チューン、以上が九名は、更なる能力の向上を目指して私と晃とでの特別な鍛錬を受けてもらう。トロフとケイト、アレンとジル、は二人一組で魔獣を狩りながら更なる修練を続けてくれ」
アイは全員のゴーレムによる実戦形式の手合わせを終えると更に本格的な指導へと入る。
「正直、現状では貴方達の技量では一対一では武尊と同等の技を繰り出すスライム族には到底及ばないと思う。そこで三人一組になって相対する事を前提での修練に入ってもらう。私と晃がそれぞれ二組の相手をしている間は残ったもう一組は魔獣を狩りながらぞれぞれの課題を見つめなおす事に勤めていてくれ」
アイはそう言うとビコウ、シャオ、チョゴを引き連れて草原の奥へと消えていった、
「じゃあ、ヘンリー、ノア、エマはまずここで俺と闘ってもらおう。ポイン、ホーゾン、チューンは今日は狩りに向かってくれ」
残された六名にアキラは指示を出すと、ヘンリー、ノア、エマとの修練を開始した。
「バリキシメトで大分鍛えられたと思っているだろうが、あれは基礎鍛錬に過ぎない。これからは実戦を踏まえた技の応用に入っていく。その後に師匠が三人組での闘いの進め方について指南してもらえるはずだ。では、まずヘンリーから先程の手合わせから見えた課題をその身に伝えよう。俺を敵だと思ってかかって来てくれ」
アキラはそう言うといつもの小剣での二刀流ではなくエマから借りた長剣をヘンリーと同じ様に構える。
(打ち込めない、隙などまるで感じられない。打ち込めば即、終わりそうだ)
構えを取るヘンリーはアキラから発せられる死の匂いに当惑していた。
アキラが僅かに剣先わずかに上昇させるとその重圧に負け、思わずヘンリーは剣を打ち込んでしまっていた。
(しまった。身体が勝手に!)
次の瞬間には剣は飛ばされヘンリーのミスリルゴーレムの首先でアキラの剣は止まっていた。
「次はノア、前に」
そう言いながらアキラはシャトルーズで飛ばされたヘンリーの剣を拾いエマの剣をエマに返した。
そして再びノアと同じ様に剣を構えると先程光景を見ていた筈のノアも同様に剣をはじかれノアのミスリルゴーレムの首先でシャトルーズの剣は止まっていた。
「エマ、前に」
今度はノアの剣でアキラは構えなおすとエマと同様に剣を構える。
(同じじゃ駄目。構えを変えなくちゃ・・)
エマは構えを上段に変えながら勇気を出して襲い掛かる重圧の中、半歩前に出る。その瞬間、シャトルーズはやや下段に構えを変えながら切先を丸見えになった柄の先端に向け片手で鋭い突きを放つ。
「あっ!」
何の反応も出来ず固まってしまった体制のままエマのミスリルゴーレムも剣を飛ばされてしまっていた。
「死を覚悟するような重圧の中でもその状況からあがなう事が可能になる様に鍛錬を続ける。次はヘンリー」
アキラによるこの修練はこの先の修練のまだほんの導入部分でしか過ぎないものだった。
新章九話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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