死の商人に魅入られし国(7)
更新いたしました。
「ではこれで総会を終了いたします」
最後にカーメル組合長が宣言し無事「ぜら・あな商会」のなかつ国貿易商人組合への加入が認められた。
皆が会議室を退室しようとしている時、ピガンがパッタに声をかける。
「パッタ殿、少しお時間を頂けないだろうか商談したい件がありまして」
「商談ですか?ここではなんですからすぐそばの私の商店にお越し頂けますか?」
「ご同行させていたします」
年老いた獣人だが素早く歩き出すパッタの後を慌てて三人は追いかけていった。
「あの様な所で話しかけずに、直接商店にお越し頂ければ良かったのだが・・」
自分の執務室に入るなりパッタは溜息をついた。
「大変申し訳ない、今までほとんど取引がなかったので直接店に伺うのはどうかと思ったものですから・・」
ピガンが詫びる。
「今この国の貿易商人達は異邦人の新しく出来る貿易都市の話題でもちきりなのです・・、少しでも有利な条件で店を持ちたいと「わの国」に顔のきくカーメルに忖度する者ばかりでな「なぁの国」の商会であるあなた方があの場所でたとえ少しであったとしても商談の話をする事は損は有っても得る事は何もない」
「それはすまなかった、助言感謝する」
今度はロンが詫びた。
「私の商会で取り扱う商品は元々あった獣人の国々で取り扱っていたものばかりで、「わの国」が安く大量生産するようになってからは価格が合わなくなって忖度しても仕方がなくなっているのだがな」
「その商談というのが・・、高くても良いので野生のフェアリースライムを探していただけないかと」
ロンが商談を切り出す。
「フェアリースライムか・・「わの国」では比較的安く腕輪込みで販売されている、それこそカーメルに話を持ち掛けた方が良かろうに」
アキラの肩にとまるチャアを見つめながら悲しそうにパッタは答えた。
「販売されているフェアリースライムは騎士に選別された残りしかいないと聞いた、つまり無理矢理隷属された者ではゴーレムは力を発揮せん、お互いの相性と信頼関係が重要なのだ」
ロンはパッタに必要性を説いた。
「農場産には興味がないのか?買い手が無ければ彼女らは廃棄されると聞くが・・、野生のフェアリースライムを捜すのは今っとなっては困難を極めるが・・ましては希少な男のフェアリースライムなどは全て「わの国」に握られておる・・」
「うむ、やはり難しいのですか・・」
ロンがうなる。
「では、当面農場産を購入いたします、が第三者を経由して購入できませんか?数が知れる事が即、軍事力に直結しますので」
ピガンが素早く本命の商談に移る。
「どうせ私の商店以外にも取引するでしょうに流石に用心深いですな」
パッタはそう言いながらな発注の契約書を作成させますと答えながら部屋を後にした。
(チャア、仲間たちは今とんでもない目にあってるんだな)
アキラがチャアに念話で話しかけると、遠くを見つめながら。
(楽しかったのよ、学ぶことも多かったけど・・もちろん今もアキラといると楽しいわ・・だからもう昔のように生きる事が大変だった頃には戻れない・・私達の種族は皆そんな気持ちでいると思う・・)
時代に翻弄されていく種族フェアリースライム・・彼女らにとっての幸せとは・・。
どうか次回もよろしくお願いします。
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