滅びゆく国(2)
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「断る!」
「・・、普通そうこたえるよね・・」
残念そうに妖精は答えた。
「普通、いわば自分と同じ境遇の人間の国と闘うなんて・・答えないだろう」
「私達フェアリースライムとゴーレムを使って新たな闘い方を生み出したのが異世界人なのです・・、私達は道具として取引されるようになり・・奴隷以下の扱われ方となっているのです」
「だから、俺に何とかしてくれと言われても・・」
「武士や忍者という勇敢な戦士が居る国から召喚したはずです・・どうかお願いいたします」
頭を下げる妖精に俺はとんでもない基準で呼ばれたことに驚いた。
「武士、忍者・・、今となっては最も平和ボケしている国と呼ばれているんだよ・・」
そう答えながら、自分が選ばれた訳が分かったような気がした。
そう俺の曽祖父はさびれた古武術の道場を開いていて曽祖父の亡くなる小学校高学年まで俺を呼び出しては稽古をつけていた。
(別にいやいや通っていたわけでもなく、大おじいちゃんが何故か大好きだったんだよな・・)
「それに、国と個人で闘うなんて無理だよ・・、別の人に頼んで俺は帰してくれよ」
「召喚は・・何度もできる魔法ではありません・・魔力な高い選ばれた者が命を懸けて成功するかどうかといったものなのです・・、ましては送り帰すことなど・・」
「・・やはりな、で、ここは何処で今、どんな状態になっているんだ」
「ここはエルフと呼ばれる種族の国でした・・が王宮は落とされ今まさに滅びていく所です・・、そしてここは王宮の隠し部屋、転移紋を使用してしか入ることが出来ない脱出用の設備です」
「王族は逃げなかったの?」
「奇襲を受け私の前のマスターΔΦ∂♀♭が最後の王族の生き残りでした・・」
「この後どうするつもりだったの?」
「はい、この国は滅ぼされましたが、まだ隣国にはエルフの国があり助けを求めようと・・」
「まだエルフの国が有るんだ」
「はい、エルフの国は三つ有りました」
「そこに行くしかないんだね」
「はい、そこには先程の助言をしていた異邦人がいます、どうか彼女に会って話し合ってもらえないでしょうか?」
「そこに行くには、どのくらいかかる?」
「最も近い転移紋から国境まで歩いて3日ほどかかると思います」
「3日か、バイク使えば1日位かな・・」
奥に倒れている電動オフロードバイクに目をやると。
「難民が国境に押し寄せているでしょうから異世界の乗り物は・・」
「そうだよな、充電も出来ないし、とりあえず案内を頼む・・、あっ俺は晃、マスターとかではなくアキラと呼んでくれ」
「アキュラ?」
「・・そう聞こえるならアキュラで良いよ・・」
アキラの冒険の旅が始まる。
異世界での異邦人達の立ち位置そして大戦に否応なく関わっていく少年、彼の道開く未来とは・・。
どうかよろしくお願いします。