雨過天晴(うかてんせい)〔3〕
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獅子の顔を持つ獣人、カバック将軍は信じられない報告を前線から伝えられていた。
「間違いないのだな、以前「バリキシメト」で「ヤガー」が敗れた時の異質な黄緑色に光る異質なゴーレムなのだな」
カバックの問いかけに側近は答える。
「前線にいた件の目撃者からの報告です。更に隣には紅色に光り輝く異質なゴーレムも確認されています」
カバックはバリキシメト以北で起きている異変を暗黒大陸に送り込んだ密偵も兼ねた冒険者より報告を受け、今回の遠征を決断した。この様な背景があるからこそ今回の判断に苦慮していた。
「いかが致しましょうか?このままでは前線部隊が二騎との交戦状態となりますが?」
「もう一騎のゴーレムも気になる。なぁの国の王室が保有する伝説のゴーレムやもしれん。まず交戦せず距離を取って囲い込む様に命令しろ。二機がどのような反応しめすか確かめる」
「はっ」
側近は魔導士に前線へ命令を伝達させる為に将軍のゴーレムの元から離れていった。
「えらく遠回りに囲んできたね。晃おまえ獣人族に昔、何かしたんだろう」
アイの言葉にアキラは少し困ったように答える。
「親父と出会うときに多少、戦いに巻き込まれたんだけど・・この扱いは酷いよね」
「よほど酷い事をしてないとこんな扱いにはならないよ。私は上空でめぼしい者が居ないか観察しているからお前が対応しておきなよ」
そう言うとアイはアキラのシャトルーズをその場に残してビルで一気に上空へと舞い上がっていった。
「母さん、それは無いよ。なあ、チャア」
今度はチャアに話を向けると冷静な答えが返ってきた。
「アイの判断は正しいです。どうかうまく対処して下さい」
空中でシャトルーズを囲み待機しているゴーレムの大部隊を見つめながらアキラは少しずつオーラを高め臨戦態勢に入っていった。
「将軍、一騎は上空に舞い上がり、黄緑色に光るゴーレムのみが取り残されております」
側近の報告にカバックは少し考えそして答えた。
「ヤガーの従姉妹のトルバリアに闘いを挑ませてみよ。仇でもある相手だ、応じよう。・・私も直に見てみたい」
そう命令するとカバックも自ら囲みの最前線へ向かって行った。
暫くたつと囲みの中から純白に小さな黒い斑点のあるゴーレムが一騎シャトルーズに対して向かってきた。
「我が名はトルバリア、貴殿に敗れたヤガーの親族である。死活をかけた闘いを挑みたい」
その言葉にアキラは自責の念を感じながらも答える。
「俺はアキラ、フジワラアキラ。なぁの国の使者としてこの地を訪れた。過去の経緯はあるだろうが、まず話を聞いてほしい」
「カバック将軍は貴殿と私の闘いを望まれている。この闘いに勝利して後に話とやらをするが良い」
そう言うと、トルバリアの白いゴーレムは大剣を抜き正眼に構をとり、シャトルーズが剣を抜くのと同時に一気に間合いを詰め勝負を挑んできた。
新章三話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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