雨過天晴(うかてんせい)〔2〕
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「創造主と呼ばれるスライム族に闘いを挑み、フジワラを救出したいと、そしてその為に共闘出来ないかと言われているのですね」
フォーは二人を真剣な眼差しで見つめながら答えた。
「はい、父を救い彼等を滅ぼす為には、彼ら十数体と同数以上の精鋭が必要です。彼等は恐らく父の剣技を奪いその知識を共有しているはずです。つまり、父と剣を交えても闘う事が可能なゴーレム騎士達が必要なのです」
アキラの答えにフォーは驚きながらも答える。
「フジワラと剣を交える事が可能な騎士など存じ上げませんが、強いて言えばラーバン将軍位でしょうか?」
今度はアイがその問いに答える。
「私がその領域まで鍛えあげますので、わの国から最低でも五名以上を選抜してもらえないだろうか?」
「では後は、東の大陸から選抜して頂けるのですか?」
「いや、私達以外で五名ほどが限界だろう。しかし、この大陸の南側には獣人の国も有るのだろう。そこにも猛者がいるのではないだろうか?」
「私は獣人ですが獣人の国にはなにも繋がりが無いのです。そのうえ敵対関係でもあったのですから交渉は出来そうにありませんが」
「私達二人で交渉してみるよ。フフッ、どの様な猛者がいるのか楽しみだね」
アイの人を食った様な満面の笑みにフォーは驚きながらも、彼女ならば可能なのかと妙に納得もしていた。
翌日、ゼラ・アナ号で東の大陸の騎士達が帰還するのをアイとアキラが見送った後、ビルとシャトルーズで南方の獣人の国へと旅立っていった。
「この辺りが私達の世界でいう所のアマゾン流域になるんだろうね」
昔訪れた事が有ったのだろう。アイが懐かしそうにアキラに話しかけた。
「そうみたいだけど、下流の方はこの前の災禍の影響がかなり残っているみたいだ。やはり獣人達はこの先のブラジル高原に避難しているんじゃないのかな?」
「ブラジル高原か、私はこの世界に来る前に武尊の捜索に随分と歩き回った所だよ」
「世界中、探し回っていたからな」
「あの人がまさか異世界に居るなんて想像も出来なかったよ」
「どんなに探しても、手掛かりすらつかめなかったはずだよね」
「偵察中とみられるゴーレムをこの先の空域で捕捉しました」
チャアが告げると同時にアルも叫ぶ。
「その向こうにもの凄く沢山のゴーレムが飛行しているよ。こちらにまだ気づいてないのにこちらに向かっている。どこかに戦いに向かっているみたいに見える」
「でかした、アル凄いよ」
アイの労いの言葉にアルが上機嫌で喜ぶ。
そう、獣人達は今まさに長壁の要塞都市「バリキシメト」に向けて進軍を開始している所だった。
新章二話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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