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雨過天晴(うかてんせい)

新章、更新いたしました。

よろしくお願いいたします。

 ヘンリー、ノア、エマの小隊は暗黒大陸を離れ東と西の大陸の間にある小島、異邦人の居た世界ではアゾレス諸島と呼ばれていた島で待機していた。


「フォー様の言う通りにこの距離を蛹人が海を渡ってくるのかな?」

ノアが余りにも平穏な日々が続く事の不満を口にしていた。

「他の暗黒大陸最西端にいる小隊も同じみたいよ」

「蛹人はやっぱりもう全滅しているんじゃないのかな?」

「数体でも他の大陸に気づかずに上陸してしまったら取り返しがつかないことになるから、まだまだ油断できないじゃない」

「本隊は今、大陸の回廊の東の島々をシラミつぶしにあたっているんだろ。既に、こちらに飛んでくる元気もないんじゃないか?」

「油断禁物よ。そろそろヘンリー隊長が偵察飛行から帰ってくる頃よ、次は貴方の番でしょ見落としちゃだめよ」

「え、もちろんだよ」

エマの物言いにノアは少しぎこちない返事をすると、慌ててゴーレムの準備態勢を再度確認していた。



「どうだい、何か反応は有るかい?」

偵察作業に入ったノアは、フェアリースライムのエマリーに尋ねた。

「まだ距離が有りますが東に向かう非常に低空ですが、群れの様な反応があります。また鳥の群れでしょうか?」

「念の為にもう少し接近して確認しよう」

ノアは高度を保ったまま群れの反応する方向へ向かって行った。


「反応は鳥では有りません。数十体の蛹人です!」

「ヘンリー達に連絡を予想合流地点まで後退する」


「初めての蛹人との戦闘だな」

ヘンリーが並走してゴーレムで飛行しているエマに話しかける。

「蛹人のレクチャはもう受けているし、スピードでは勝っているのだから囲まれない様に一撃離脱して、決して深追いはしない、単独にならない、接近させないよね」

「そうだ、万全の備えで対処しよう」

ノアと合流し彼等は、数十体の長距離飛行で衰弱しているであろう蛹人達に油断なく時間をかけて殲滅していった。



蛹人達との戦闘も一段落した頃、アキラ達東の大陸からの応援部隊は任務を終える事となり休息もかねて要塞都市バリキシメトを訪れていた。

「ほとんど休む間もなくの活躍ありがとうございました。本当に感謝しております。ありがとうございました」

フォーが一同を代表して深々と頭を下げると。バリキシメトに残る兵士達が一堂に頭を下げた。

「心ばかりですが食事の用意が出来ております。ご案内いたします」

そう言うと用意していた広間へと皆を案内した。


皆の食事中にアイはアキラを連れ立ってフォーの自室を訪れていた。

「折り入っての相談とは?」

少し緊張気味にフォーはアイに尋ねた。

「創造主と呼ばれるスライム族に捕らわれている武尊を助けたいの」

更にアキラが続けて口を開く。

「あいつらをこのままにしておく訳にはいかない」



二人は決意を固めた表情でフォーに話を切り出していた。




どうか本章もよろしくお願い致します。


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