天怒人怨(てんどじんえん)〔8〕
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愛騎のアダマンタイトゴーレムを駆り最前線でラーバンは奮闘しながらも指令を出していた。
「一撃離脱だ、深追いはするな!振り切れ、上昇しろ!取り付かれるな!」
何度叫んだ事だろうか、数的に圧倒的に有利な相手にアーバン率いるミスリルゴーレム隊は苦戦をしいられていた。そして既に東の大陸より引き上げて来た大部隊の半数近くが既に失われており、西の大陸を南北に繋いでいた回廊の南側迄押し込まれていた。
「将軍、逃げ場が有りません!少しでも道ずれに!ご武運を!」
ラーバンの元に小隊長からの念話が伝わってくる。
「ちぃ、どこだ?」
自身の相棒のフェアリースライムに尋ねる。
「東の海上上空です。もう間に合いません」
その言葉に歯ぎしりをしながら東の海の蛹人が塊となった空域を見つめると、一条の黄緑色の光が東の空高くから舞い降りてくる。
「なんだ?」
そう呟きながらもその光が何者であるかをラーバンは確信していた。
「奴か・・」
「チャア、索敵を任せる。方向だけを伝えてくれ」
蛹人の群れに囲まれてしまっている三騎のミスリルゴーレムを上空から発見しアキラは迷わずシャトルーズを群れに向かって突っ込ませていた。
「斜め右下二体、旋回し右側のゴーレムの背後の三体。そのまま下降して更に右側の三体。更にその先にいるゴーレムの真上にいる一体を」
シャトルーズが打ち漏らす事など想定していないチャアの指示にアキラは応えていく。
「三騎目のゴーレムの真上にいる六体、順番は任せます」
更にチャアの指示が飛ぶ。
「ラーバン将軍、聞こえますか?」
フォーの声にラーバンが答える。
「聞こえている。援軍要請に応じてくれたのだな」
「やっと、念話が届きましたね、今そちらに向かっています。先行して聖戦士の黄緑色のゴーレム。シャトルーズがそちらに向かっていますので対応の方をお願いします」
その問いかけにラーバンは苦笑しながら答える。
「既に到着して小隊を救てくれた。奴は更に出来る様になってるな」
想像以上の早い到着にフォーは驚きながらもその言葉を咎めた。
「奴とは何ですか、聖戦士殿ですよ!」
フォーのその言葉に更に苦笑いしながらも数体の蛹人を同時に切りつけながら答える。
「奴とは因縁が有りますが、・・その様にいたしましょう」
押し込まれそうになっていた戦線を一気に逆転に導いているシャトルーズの様子をラーバンは師匠でもある在りし日のフジワラ長官の姿と重ね合わせていた。
新章八話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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