天怒人怨(てんどじんえん)〔6〕
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リュウの街仮設王宮の長い長方形のテーブルを中央に配置した会議室にはゾンゴ王、パーシャ王、ジャンニ、ロン、ピガン、セグー、ドルが、わの国からの特使達の入室を持ち構えていた。
「お連れしました」
カーメルの声と共に扉の前で警護に当たっていたトロフが扉を開くと、全員が椅子を立ち特使に向かって辞儀をする。
「この災禍の中、突然の来訪申し訳ございません」
フォーが深々と頭を下げると、ゾンゴ王が前に出て代表して口を開く。
「深い事情が御有りなのでしょう?事情を伺いいたしましょう」
ゾンゴ王が全員に着席するように促すとフォーは着席する前にもう一言付け加える。
「はい、ありがとうございます。今私達、西の大陸で起こっている異質な生命体についての説明とその対策についてご尽力いただきたく来訪いたしました」
「異質な生命体ですか?」
ゾンゴ王が尋ねるとフォーは頷き長い説明が始まった。
「その生命体は災禍の中突然現れました。皆が神と呼ぶ創造主達が送り込んだと推測されます。雑食であり、捕食者でもあり、知的生命体であるということです。その生物は土塚によって街を形成し集団であらゆる魔獣、動植物、そして我々迄も捕食していきます。その姿は薄茶色の蛹のような形状をしており、四つ足で歩行し手を使い、そして翅で空を飛ぶ事も出来ます」
「知恵が有るのか?」
思わずロンが声をだす。
「はい、彼等は私達と同様に念話や魔法が使えます。ゴーレムが相手であっても集団で取り付き、音波砲とでも表現したら良いのでしょうか?振動波?によってミスリルゴーレムであっても内と外両方を破壊します」
「ゴーレムで落とされるのか?」
ドルが驚きの声を上げる。
「直接取り付かれると内部の騎士、フェアリースライム共に破壊されます」
「どのように対処しているのですか?」
今度はパーナが尋ねる。
「単体であれば比較的対処は簡単ですが、複数が相手になるとある程度の技量が無いと取り付かれてしまいます」
「何か弱点は無かったのか?」
カーメルが思わず叫ぶ。
「そう思い死体を回収し調査したところ、驚くことが判明しました。蛹の内部は粘弾性物質で出来ておりスライムの様でしたが、魔核以外にその頭部に目と三半規を伴う脳が確認されたのです。したがって首を落とす事が致命傷になると考えられます」
「元は人だったものじゃないのか!」
スライム族を知るアキラがたまらず声を荒げる。
「その可能性は高いと思います。あれは人族の脳と同じものでした」
フォーのその言葉にアキラは神と名乗るスライム族達への怒りに、これ以上は無いと思える冷たい覇気が放たれ身体が震えていた。
新章六話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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