天怒人怨(てんどじんえん)〔5〕
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その生物は土塚によって街を形成していた。既に西の大陸の北側、わの国の至る所に土塚の街が広がり始めていた。そして恐ろしい事に彼等もまた雑食であり、捕食者でもあり、知的生命体でもあった。
アキラとアイは十数回目となるアンマへの物資調達に再び訪れていた。
「アキュラ、パーナから連絡が入ってます」
アキラ達が帰り支度をしているとチャアが声をかける。
「え・・、わかった」
アキラがそう答えるとパーナの慌てたような口調が続いてくる。
「アキラ、大至急戻って来て。わの国から特使が来ていて、カーメルが対応してくれているわ。特使はアレンって名乗ってて貴方を知っているそうよ。レディ・フォー臨時代表も既にこちらに向かっているそうなの」
「え、アレンさんが。どうしたんだい?」
「知り合で間違いないのね。わの国で、西の大陸で大変な事態が発生しているそうよ。少しでも早く帰還してね」
アキラはアンマの世界樹の空域を離れアイにビルでの単独飛行での帰還を頼むと、シャトルーズの最大速度でリュウの街を目指した。
「ありがとう、早かったわね。その魔導飛行機も今しがた着いたばかりよ」
シャトルーズを降りるとパーナとその隣にはアレンと見覚えのあるもう一人の護衛の騎士の姿があった。
「お久しぶりです。ご無理していただき申し訳ありません」
そう言いながらアレンが頭を下げると、アキラはその後ろで飛んでいるフェアリースライムのラートリーに目を向けながら挨拶を返す。
「アレンさん、お久しぶりです。ラートリーも久しぶりだね」
すると、ラートリーは嬉しそうに微笑んで手を振った。
「シュミーの村も水に浸かったけどジルが助けに来てくれて復興を手伝ってくれたのよ」
ラートリーのその言葉にアキラは少し驚きながらもアレンの隣に立つ男に感謝を伝える。
「ありがとう。シュミーさんの村を守ってくれて」
「ジルと申します。当然のことをしたまでです」
その時、カーメルが一人の獣人族の女性を案内して来た。
「初めてお目にかかります。レディ・フォーと申します」
真っ赤な目をした女性がパーナとその隣のアキラに頭を下げる。
「少しフォーと立ち話をしてたんだが、これは大変な事になっているぞ」
カーメルが二人に少し状況を説明しようとすると、パーナごそれにこたえる様に言葉を続ける。
「会議室をご用意しております。可能な限りの対応できる様な人員を集めていますので、そちらで詳しい説明をお願いいたします」
一同が会議室へと向かうと、カーメルはアキラの傍に近寄ると小声で話しかける。
「奴等(スライム族)、今回の大規模災害も起こした上に、新しい獰猛で知的レベルが高い種族を送り込んできたみたいだぞ」
その言葉を聞いた瞬間にアキラからカーメルにも判るほどの冷たい覇気が放たれていた。
新章五話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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