天怒人怨(てんどじんえん)
新章、更新いたしました。
よろしくお願いいたします。
ランディアの海底迷宮の奥底で二体のスライムによる会話がなされていた。
(バイゼー(白澤)、話とは?)
バイフー(白虎)が少し面倒くさそうな素振りを見せながらバイゼー(白澤)に問いかけた。
(今回の大陸浮上ご苦労様でしたな、忙しい時に悪いがわしの愚痴を少し聞いてくれないか?)
(お前の大切な異世界の生物サンプル達に被害が出た事は謝ろう。その件だろう?)
(まあ、また集めるしかなかろうな。それはまあ良いのじゃが、一万年ぶり位になるかの・・エルフ族の次の新作の種族を開発中だったのだがな。完成とまでは行っておらんかったのだが、この被害で暫く開発は先には進めん、かといって処分するのも惜しいのでな。どこかの大陸に放置する事は出来んかな?)
バイフー(白虎)は少し考えんがら答える。
(被害が激しかった異邦人の国があった所にでも放置すれば良かろう)
この会話がこの後、異邦人達を絶望へと追いやる事になってしまっていた。
あの未曾有の災害から半年、アキラ達の居る東の大陸では冷夏による気象変動に見舞われていた。
スイの国リュウの街の三国合併での仮設王宮でそれぞれの王が元の領地での現状について帰朝報告会議が行われていた。
「やはり今年は不作は免れないな」
ゾンゴ王の言葉にパーシャ王も言葉を続ける。
「ハサンの国でも被害が小さかった山間部のわずかな農地を最優先で復旧させたが、作付面積が余りにも小さい、温暖な気候だったのが「なぁの国」の様な気候になってしまっている」
「山脈の北側の「なかつ国」「なぁの国」では夏は訪れておりません、もはや絶望的です」
パーナ女王は現状を報告する。
「生き残った、わの国の異邦人達は唯一難を逃れた大型コンテナ船に乗って母国に引き上げて、今この大陸は無政府状態となっております。わずかに生き残った者達でこの困難を乗り越えなければなりません。皆様に人脈や資産を利用させて頂きながら、復興のその道筋を見出すその為に商会の者達は皆、奮闘しております」
この会議の座長を務める「ぜら・あな」商会のジャンニが力強く答える。
シャトルーズとビルは、暗黒大陸のアンマの迷宮に向かって飛行していた。
「この辺は大きな被害はないみたいだ」
アキラの問いかけにアイが答える。
「海岸線はわからないが、内陸部分は大丈夫みたいだね。ふっ!お出迎えの様だよ」
「グリフォンだ~♪」
アイの反応と同時にアルの明るいおしゃべりが聞こえてくる。
いつもと変わらないアンマの世界樹の様子にアキラは久しぶりに明るい気持ちになっていた。
どうか本章もよろしくお願い致します。
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