開天闢地(カイテンヘキチ)〔7〕
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「ケイトさん、明かりが見えてきましたよ」
アキラが牽引されているブルーズのケイトに声をかける。
「帰ってこれたんだ・・、私の勝手な判断で迷惑をかけた」
「そんな事は気にしないで下さい。パーナの事を思って決断したんでしょう」
「軽率な判断だったわ。本当にごめんなさい」
「幸運でしたよね。あの魔獣達が退いてくれて」
「恐ろしかった、あんな魔獣がこの世界には生息しているなんて」
その時チャアが声を挟む。
「到着します。ビー、速度を落とします。牽引ワイヤーを外して下さい」
予定より一時間ほど遅くなったがアキラ達はリュウの街の「ぜら・あな商会」出張所へと帰還した。
工房ではドルが待ち構えていた。
「どれ、装備の耐久性はどうだった?」
シャトルーズが装備を外すと、すぐに近くに駆け寄る。ざっと見渡とすぐに青い顔をしてシャトルーズから降りてきたアキラに向かって叫ぶ。
「何があった?もうこれは使えんぞ、よくここ迄もってたもんだ」
「帰りに伝説の魔獣に遭遇したもんで」
「一戦交えたのか。ブルーズの方はどうなってる」
ドルは慌ててブルーズの飛行ユニットに向かって走っていく。
「ビー、速度を合わせずにワイヤーを切り離したのか?結合部分がボロボロだぞ」
そして今度はドルは空に浮かぶビーに向かって怒鳴る。
「ドル済まない、私が命じたんだ」
ケイトがドルに頭を下げる。
「他は大丈夫そうだな」
飛行ユニットの本体を見渡すと少しほっとした表情でアキラに振り返り言葉を続ける。
「十日程は、次回の遠征は控えてくれ。それと皆にちゃんと報告するんだぞ・・腰袋も変えなければならんな」
そう言いながらドルは工房の奥へと引っ込んでいった。その様子にアキラとケイトはお互い顔を合わせて苦笑いをしながらも笑いあっていた。
アキラ達が報告に支配人室を訪れるとカーメルとパーナが子供達を連れて帰還を待ちわびていた。
「魔獣か」
「伝説の魔獣の群れねぇ」
二人の呟きに子供達が反応する。
「まじゅう、まじゅう」「まじゅーう」
元気に笑いあい場を和ませる二人を見つめながらアキラも声をだす。
「ただいま。遅くまでありがとうな」
二人の傍で挨拶すると二人は行儀よくアキラに向かって同時に少しだけ頭を下げた。
「まあ対策の話は明日にしよう。きょうはおわり」
カーメルが小さな二人を見つめながら話を終えると、二人はお互いを見つめ合うと笑いながらカーメルとケイトに手を振った。
「そうさせてもらおうか」
アキラはパーナに目で会話を交わすと、二人を一度に両手に抱いてパーナと共に退室していった。
新章七話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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