開天闢地(カイテンヘキチ)〔5〕
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「アンマ以来だな、こんな仕事は。いやつい最近まで皆と迷宮にこもって仕事をしていたのにな・・」
魔獣から魔核を取り出す仕事をしながらケイトがアキラに話しかける。
「そうですよね。たった数ヶ月で、何もかも俺達がおかれた状況が変わってしまいましたね・・」
アキラが答えると、一人呟くようにケイトが話を続ける。
「ニィーと共に迷宮に潜っていた日々が私にとっては最も幸せな日々だった・・、あれほど身近にあいつを感じていた日々はなかった・・。私は本当に幸せだたんだ・・」
その時、アキラはこれまで気丈に振舞っていたケイトが心を震わせて涙しているんだと気づいた。
「ケイトさん・・」
アキラはその後の言葉を思わず飲み込んでいた、ただ黙ってケイトの話を聞くべきだと感じていた。
「なぜあの時、私は王都に居たのか・・曲芸飛行の演出の成功に私は酔っていた・・何故、任務が終わり次第、ニィーの元に戻ろうと思いつかなかったのか・・」
暫くの沈黙の後、ケイトは再びアキラに話しかける。
「アキュラ、あなたは私の様な後悔をしてほしくない。パーナ達の傍を片時も離れて欲しくない・・、もしパーナの身に何事か起きたら私には構わず、そのシャトルーズの力を使ってパーナの元に戻ってほしい、私は自力で帰還するから・・」
ケイトの言葉にアキラは言葉で返事をしないで、シャトルーズをゆっくりと頷かせることで意思表示をしていた。
日没も近づき、狩りを終え魔核を腰袋に納め終えるとシャトルーズはブルーズの上空に舞い上がりワイヤー垂らしてゆく。
「ビー、ワイヤーの完全な装着をしっかり確認してね」
チャアがビーに指示を出しているとアキラは空が急激に暗くなっている事にきずいた。
「急いでくれ、雷雲が発生してるみたいだ」
そう言った瞬間、稲光が光る。
「アキュラ、東の空より急速に接近する巨大な飛行物体確認」
チャアの声にアキラが答える。
「まさか、あいつか!」
三つ首のゴーレムの十倍以上の金色のワイバーンが迫って来ていた。
「逃げるぞ。ケイトさんフル加速をかけます」
シャトルーズは一気に大空に舞い上がるとブルーズを牽引していく。
「駄目です。魔獣は音速を超えています。三分で追いつかれます」
チャアが悲痛な叫びを上げる。その時、高速飛行中にもかかわらずブルーズのジョイントが外される。
「アキュラ、貴方だけなら逃げ切れる。パーナの元に帰って」
見る間に魔獣に補足されるようとするケイトのブルーズ、その時アキラの血液が沸騰しているのではないかと思えるようなオーラがシャトルーズがら発せられていた。
「駄目だ、ケイトさん!」
アキラの絶叫がこの空間、全ての領域に木霊してゆく。
新章五話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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