開天闢地(カイテンヘキチ)〔4〕
更新いたしました。
リュウの街の「ぜら・あな商会」出張所の工房で大きな叫び声が上がる。
「ドル!これを私のブルーズに装備しろと!」
ケイトがビジュアル的に残念そうな装備を見上げながら嘆いた。
「ケイトさん、俺は何度もこういった装備をシャトルーズで使っているから平気ですよ」
アキラが諭すようにケイトに話しかける。すると今度はドルが誇らしげに語る。
「何言ってんですかい、この手の装備は安全第一で見た目より無骨な機能重視が基本なんですぜ」
飛行ユニットと一体化してあるフラフラスカートの様に腰に巻いた多数の腰袋を見つめながらケイトは溜息をついていた。
狩りの当日、ウラル山脈より西側の魔獣の一大生息地へと日の出前に出発したアキラとケイトは日が差し丁度明るくなる頃に目的地上空へと到着した。
「速度を落としてブルーズの本来のスピードに合わせます。まず先にそちらのワイヤーを外してください」
チャアがビーに指示を出すとブルーズの飛行ユニットの先端のワイヤーを切り離す。そして外れたワイヤーはシャトルーズの腰に装着したユニットに巻かれてゆく。
「こうして引っ張てもらうとシャトルーズの速力が解るな、牽引してこの速さだ」
ケイトの問いかけにアキラが答える。
「まだかなり余裕が有るんですが、音速を超えない様にチャアに調整してもらっているんです」
「単独だとマッハ2以上は出そうね」
「多分、高高度を飛んでる時はマッハ3位だと思います」
「何よそのブラックバードみたいなスピードは・・」
その時、チャアが会話に割り込む。
「大型の魔獣の群れを発見しました。降下します」
「さあ、狩りを始めましょう」
アキラの言葉を合図にシャトルーズとブルーズは剣を抜き戦闘態勢に入っていった。
魔獣をさばき魔核を取り出しながらアキラが呟いた。
「チャア、この魔獣って食べられないのかな」
「このタイプの肉食魔獣は食用には不向きです。食用に向いた魔獣はあまり狙わない方が良いと思いますよ。巨大魔獣の怒りを買いそうですから」
「魔核だけしか取らないって、何だかこの魔獣達に申し訳ないと思って」
「これでも、効率が悪くても若い固体や子連れの個体はなるべくターゲットから外して指示を出しているのですよ」
「悪い、少し罪悪感が有って・・」
そう言いながら取り出した魔核をシャトルーズの腰袋に納めていく。その時、今度はビーが声をだす。
「大型の魔獣の群れを発見しました。作業を急いでください」
二人は順調に魔核を腰袋に納めていった。
新章四話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




