開天闢地(カイテンヘキチ)〔3〕
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「もう良いのですか?」
アキラ達が騎士達と共に、いつもの様に街の郊外の草原で朝の鍛錬を行っていると、トロフがこちらに向かって歩いて来るので鍛錬を止めたアキラが声をかける。
「いつもの日課をこなさずに寝ていると、身体が疼き始めてな」
トロフの言葉にアイが答える。
「トロフ、今日は見学だけにしておけ、私の見立てだとまだ暫くはお前は見学だ。皆の動きを観察する事を鍛錬としておけ」
「そうですよ、今の貴方は身体を回復させることに専念して下さい」
子連れで鍛錬を続けていたパーナも続けて声をかける。
「わかりました。そうさせてもらう、中断させて済まない続けてくれ」
トロフはそう言いながら草むらに座り込みアイの指導の下鍛錬を再開する皆の様子を嬉しそうに眺めていた。
朝の鍛錬が終わると、息を切らしながらひっくり返っていたカーメルがアキラに声をかける。
「すまんが話がある。アキュラとケイトは残っていておいてくれ」
アキラがカーメルに水を差し出すとそれを飲みながら二人に前に座るよう促した。
「ふぅ。話というのは、魔石の補給についてなんだが、ケイトにも以前話したはずだがこの世界の地理は我々の居た世界とほぼ同じだ。だからケイトが知る私達の世界での地域の言葉で話し合いたいと思う」
二人が頷くとカーメルは話を続ける。
「今我々がいる場所はヨーロッパアルプスの南側、多分スイスのダボスだ。そして、放送局はヴァイスフルーに建てられている。「なぁの国」の東側、巨大魔獣の生息域とされるウラル山脈より東側の領域、更にウラル山脈より西側は我々の世界では一大穀倉地帯だったがこの豊かな地形に生息している数多くの魔獣達が巨大魔獣の餌場になっていると考えられる。何かの自然災害で餌場の魔獣が減ると「なぁの国」で目撃される事になってたんだろう」
「まさか、そこの魔獣の魔核の魔石を狙えって事じゃ・・」
アキラの質問にカーメルは微笑を浮かべて続ける。
「距離的には日帰りできそうな場所だろう」
「私のブルーズは、そんなに早く飛べないわよ」
ケイトが心配そうにカーメルを見つめる。
「心配ないシャトルーズに引っ張ってもらう。そのユニットの制作をドルに発注している」
「ええ・・」
ケイトの声にならない叫びに続いてアキラも尋ねる。
「シャトルーズなら確かに日帰りも可能ですが、万が一巨大魔獣に出会ってしまったら・・」
「ウラル山脈まで距離が大分あるし西側の餌場での作業なら出会う可能性は低いと思うが・・。頼む、想像以上に魔石の消費が速いんだよ」
カーメルの真剣な眼差しにアキラとケイトそして、二人の頭の上に飛んでいるフェアリースライムのチャアとビーもお互いを見つめながら溜息をついていた。
新章三話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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