「藤原 晃」「ヴェルビー・ナァ・パーナ」(12)
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「ここで 迎え討てば、王都に被害が及ぶことは無いだろう」
迫りくる大軍勢を前にアキラは何故か恐怖を感じていなかった。
「敵から敵意を感じ取れません」
チャアが驚きの声を上げる。
敵の白銀のミスリルゴーレムにはシャトルーズが只の障害物であるかの如く大きく迂回し王都へと向かおうとしていた。
「敵騎はシャトルーズを無視して王都へと向かおうとしてる」
チャアの報告にアキラはラーバンの顔を思い浮かべながら答える。
「後方から一騎だけこちらに向かって来てないかい」
「はい、確認しました。黒いアダマンタイトゴーレムが後方からこちらに高速で向かって来ています」
「ラーバンは此処で俺達を足止めさせ、他の全ての部隊で王宮を陥落させパーナ達を拿捕するつもりだ」
アキラは目の前に迫るラーバン将軍のアダマンタイトゴーレムに剣を構え気合をオーラと変えシャトルーズを黄緑色からシャトルーズイエローの輝きへと変化させる。
「ちぃ!」
剣を交えた瞬間にラーバンの声が聞こえたような気がした。シャトルーズは信じがたい力でラーバンのアダマンタイトの剣を弾じき、その空いたアダマンタイトゴーレムの胴にシャトルーズは重い蹴込みを入れる。そして降下するラーバンのアダマンタイトゴーレムに見向きもせずアキラはシャトルーズを高速移動させる。
「チャア、一騎たりとも王都に近づけさせない。高速移動し全てのゴーレムの飛行ユニットを破壊する。飛行制御と最短ルートの策定を全て任せる。頼んだぞ」
「了解です、アキュラは剣技に専念して下さい」
シャトルーズはありえない速さでミスリルゴーレムに迫り、気が付いた時には敵の飛行ユニットは破壊されていた。
「将軍、我が部隊全ての飛行ユニットが破壊されました」
同じ様な報告がラーバンの元に続々となされる。
(たった一騎のゴーレムにこれだけの大部隊が意味をなさないのか)
ラーバンは唇を噛みしめながら命令を下す。
「無事な部隊は密集隊形をとれ、数で防御し飛行ユニットの破壊を防げ。飛行ユニットを破壊された部隊は直ちに地上へ降下、徒歩で王宮を目指せ」
(しかし、王宮の陥落は近い、奴とは戦では力負けとなったが戦略では勝利したと言った所か・・)
それでも続く部隊からの報告にラーバンは平静を装って指示を出す。
「・・遺憾だが、パーナ女王の拘束命令は一旦、放棄する。皆、王宮を目指せ」
「チャアよくやってくれた、ありがとう。もう、ゼラ・アナ号を追う者はいない。これから超高高度に上昇して後を追おう」
「了解。・・また、王宮が燃えている。私達では勝てないの?アキュラ・・」
「わからない・・が、このままでは終われない必ず好機が訪れる。その日が来るまで皆で戦い抜いて行こう」
王都「ウロポロ」を上空から見下ろしながらアキラはキラとトロフの二人の姿を思い浮かべていた。
人ノ篇、最終話となります。どうぞ次の天乃篇もよろしくお願い致します。
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