「藤原 晃」「ヴェルビー・ナァ・パーナ」(11)
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構えをとった赤黒い大型のアダマンタイトゴーレムの剣から黒炎の魔力が滲みだし、そしてその炎は切先へと集積され強い光を放つ。
「アキュラ、キラは本気よ。シャトルーズも判っているわ」
チャアの声に呼応するかのようにシャトルーズの両目がシャトルーズグリーンに輝き、その身体はシャトルーズイエローに光り輝きだす。
「キラさん・・」
次の瞬間、アダマンタイトゴーレムが一気に左片手一本突きを放つ。アキラはその突きを回避せず右手の盾で受け流すが、その技の流れを利用した巨体の持つ質量を利用した体当たりをもろに受けシャトルーズは吹き飛んでいく。
「アキュラ、迷わないで」
チャアが悲痛な叫びあげる中、体制の崩れたシャトルーズにアダマンタイトゴーレムは再び左片手一本突きを放ち、その切っ先が再びシャトルーズに迫ろうとしていった。
が、・・その瞬間に薄い青緑のミスリルゴーレムが二騎の間に割って入る。
「トロフ!」
初めてキラの声がこの戦場に木霊した。
剣に貫かれたトロフのゴーレムはその全ての力が失われたかの様に静かに落下していった。
「アキュラ、なぜ私を・・私を終わらせてくれなかった。私にこれ以上罪を重ねよと言うのか!」
キラの叫びにアキラは自身の覚悟の足りなさと、今、自分がなすべき悲しい現実を思い知る。
「・・終わりにしよう」
そう言うと、アキラはシャトルーズの左の剣を逆手握りに持ち換えると、二刀の小剣にオーラをのせ構える。
そして三度目の左片手一本突きがシャトルーズを襲うと右の小剣で大剣の奥深く迄滑り込ませて、もう一方の左手の小剣で胴を薙ぎ払った。
・・赤黒い大型のアダマンタイトゴーレムは、その禍々しい魔力を消失させながら降下していった。
数刻の間シャトルーズと王宮騎士団のゴーレムで必死に王宮上空の制空権を確保していると、ようやく南の空からゼラ・アナ号が接近してくる。しかしその直後、西の空から新月の深夜に巨大な生き物のように煌きを放つゴーレムの大軍勢が姿をみせ進軍してくる。
「パーナ、王宮騎士団と共にゼラ・アナ号を頼む」
アキラの言葉にパーナは慌てて念話に答える。
「貴方は、何をするつもりなの」
「これ以上の皆の、ゴーレムの損失も避けたい。スイの国リュウの街に皆と退避してくれ。・・俺と、このシャトルーズを信じてくれ。・・シャルトとヴェルを頼む」
そう言うとアキラは敵が進軍する西の空へと飛び立って行った。
人ノ篇、最終章十一話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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