「藤原 晃」「ヴェルビー・ナァ・パーナ」(5)
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日を跨いだ深夜、ブリーテンの放送局の上空にも巨大な魔法紋が再び構成されようとしていた。駐屯地から護衛の白銀のミスリルゴーレム隊が上空に向かうも赤黒い大型のアダマンタイトゴーレムを中心としたゴーレム部隊に行く手を阻まれていた。
-やがて-
放送局は更に巨大な火球に巻き込まれ炎上していった。
数日後スイの国、リュウの街の郊外の墓地ではニィーとその相棒であるフェアリースライムのリムが埋葬されようとしていた。
「これほど親身になってもらえる仲間達がいた事を息子になり変わってお礼申し上げまする」
「ぜら・あな」商会総支配人代理を務めていた父親のゼラ・ロンは深い一礼をしたまま全身を震わせ動けなくなっており、見かねたゾンゴ王がロンに寄り添い席に着かせる。
その様子に前列席のケイトも下をうつ向いたまま体を震わせ続けていた。
アキラとアイはシャトルーズとビルで墓地を囲むようにポイン、ホーゾン、チューンのゴーレムと共に葬儀用の装備を施して直立不動の姿勢で大勢の要人達の警護に当たっていた。
「チャア、今でも信じられないよ。ニィーがニィーさんがいなくなてしまったなんて・・」
「遺体が何も残されていなかったんで、余計に喪失感が薄いんだと思います」
「残されて埋葬されたのは、リムの腕輪と剣、そしてケイトさんとの通信用の魔道具の首飾りだけでしたから」
「ポイン、ホーゾン、チューンは疲れ傷ついた身体でよく見付け出してくれたよな。・・でも最大の問題なのはあの時、アンマの地底湖の最下層で捕獲した赤黒い大型のアダマンタイトゴーレムが襲撃に加わっていたって事なんだよな」
「あの時の腕輪は「スイの国」ではなく「なぁの国」に納品されていたって事ですよね」
「そうなんだよ、なのに所在不明になってるなんて」
「パーナが必死に所在を確かめているけど・・」
「王国内に多分、敵がいるよな」
「ラジオ放送局はブリーテンでも襲われたって事ですよね」
「両方のラジオ局が同時に襲われたという事で第三の勢力がって事になってるけど。噂が噂を呼び酷い社会不安を生みだしている」
「アムスの放送局は無事だったんですよね」
「あそこはもう使われてなかったからな、再稼働させて初期のチャンネルで放送再開させている」
「私達の方が圧倒的に不利になちゃいましたね」
「ああ、どうやって建て直せばいいのか。これでますますハサンの国が危なくなったよな」
墓地を後にする人々を見つめながらアキラは深い溜息をついていた。
人ノ篇、最終章五話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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