「藤原 晃」「ヴェルビー・ナァ・パーナ」(4)
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二人の姉弟の首が座った後に「なぁの国」では、大々的に二人の誕生祭の開催が国内外共に宣言され、ついに誕生祭の当日となった。
王宮の中庭に鎮座する王室警護部隊を前にトロフが王宮に向かうキラを見つけ呼び止める。
「ようやく、誕生祭の開幕だな。お前の尽力も有っての事だろうがラジオ放送もなんとか聖職者達にも許可された」
トロフのねぎらいの言葉にキラは少し憂鬱そうに答える。
「私は裏方に徹しているから、王室警護部隊はお前に任せているのだからな」
「すまない、更に面倒な仕事は全てお前に任せる形になってるよな」
「そういった役割分担だ。お前も警護には万全を期してくれよ」
そう言うと、キラは王宮に向かい歩いて行った。
住んだ鐘の音色と共にパレードが始まり、連なる隊列の中央に位置する折り畳み式の幌が付いている豪華な馬車にパーナ女王とシャルトとヴェルが乗り込み、上空にはシャトルーズとビルが横に並び隊列を見守り、更に隊列の先頭の馬車にはアンジェラ率いるラジオアナウンサー達が街の状況など事細かくその様子を実況中継していた。
王宮の上空ではケイト率いるアイが選抜した新人騎士達のアクロバット飛行が執り行われていた。
「練習通り、ちゃんとやるのよ」
色とりどりのスモークを焚いてかつて彼女が所属していた海軍のアクロバットチームさながらの航空ショーが執り行われていた。
「街中が凄い事になってる」
シャトルーズでゆっくり手を振りながらアキラはアイに話しかける。
「全く、こんな世界が現実だってお前がいなければ今でも信じていないよ」
「でも、ここも地球なんだよな。並行世界が現実にあったなんて俺にも信じられなかったよ」
隊列の上空で手を振りながら二人は王都の沿道にに広がる数多くの人々がここは現実なんだと認識させられていた。
パレードも終わり日も暮れ、宮廷内の祝賀行事に入ろうとして時、スイの国、リュウの街から程近くの国境近くの高台にある放送局の上空に十数体のゴーレムが現れていた。
「カーメル、放送を取りやめて一旦、皆を外の安全な場所に避難させてくれ。ポイン、ホーゾン、チューン、上空のゴーレム隊を追い払うぞ」
ゴーレムで飛び立ったニィーは、上空に薄らっと浮かんできている魔法陣を見て叫ぶ。
「狙いは放送局だ。ゴーレムには魔導士が乗っている」
構築されようとする魔法陣を阻止するべく核となる魔法陣を生みだしているであろうゴーレムに向かうと剣を抜いた一騎の赤黒い大型のアダマンタイトゴーレムが行く手を塞ぐ。
「お前は、私がアンマの地底湖の最下層で捕獲したアダマンタイトゴーレム」
剣を振りながらニィーは悲痛な声を上げる。
最後まで抵抗していたニィーとそのミスリルゴーレムは最後には魔力を失い放送局を狙った巨大な火球に巻き込まれ、粉々となって夜空へと散って行った。
人ノ篇、最終章四話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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