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「藤原 晃」「ヴェルビー・ナァ・パーナ」

新章、更新いたしました。

 なかつ国の革命による動乱から一年余りが過ぎ、ハサンの国では多少の変化が見られたが小康状態を保っていた。


「時間がかかるな・・」

王宮のパーナの執務室の隣の応接室でアキラは不安そうな顔をしながら呟いていた。

隣に座るアイが落ち着いた声でアキラを諭す。

「最初は時間がかかるものなのよ。どっしりとした態度で待っていてあげなさい」

その時、遠くから鳴き声が聞こえてくる。二人が顔を見合わすと、更に甲高い鳴き声が聞こえてくる。

そして、応接室のドアが開くと、いつもと違う装いのトロフが笑いながら駆け込んできた。

「産まれたぞ、女の子と男の子だ。おめでとう!」

トロフの言葉にアキラは礼を言う。

「ありがとう。パーナは元気でいるのか?」

「ああ、母子共に元気だよ。なにせ女王の出産だ、様々な慣習があるので今すぐにとはいかないが、もう少しすれば会えるだろうから待っていてくれ」

そう言うと、トロフは再び足早に立ち去った。


「これでお前は、父親になったんだ。お前の責任は私でも想像できないほど大きくなったんだ理解できてるよね」

「わかってない部分も多いいとは思うけど、理解はしているよ」

アイは頷きながら、しみじみと話を続ける。

「私も、おばあちゃんになったって事よね。まだまだ若いつもりだったんだけど」

確かにその童顔の容姿からは、おばあちゃんって言葉は似合わなかなとアキラは思いながら答える。

「親父にも、おじいちゃんになったよて言って、会ってもらいたかったな」

「そうだね、武術馬鹿な、あいつはどんな顔をして孫と向き合うのかね」

アイはアキラに少し悲しそうに微笑みながら返事をした。



パーナの寝室に通されると、そこは既に綺麗に片づけがすみパーナのベッドの隣には少し小さなベッドが用意され、まだ顔の赤い二人のえい児がすやすやと寝ていた。

「アキラ、とっても可愛いでしょう」

嬉しそうにパーナは顔をアキラの方に向けると微笑んだ。

「ありがとう。パーナ、本当にありがとう」

アキラがパーナに小声で礼を言うと、パーナは頷きながら今度は子供の方を見つめながら声をだす。

「名前、早く決めてあげたいな」

「そうだよな。でも俺は異世界人だからまだこの世界の名前は難しいよ。パーナは良い名前の候補を考えているんだろ」

「ふふ、ビルとシャトルーズから名前をとれたらと思うのだけど。後でゆっくり話し合いましょう。師匠、お母様もよろしくお願いします」

「私は口出ししたりはしないよ、無事、孫の顔をそれも二人も見せてもらったんだから本当に感謝しかないのよ」


パーナは微笑みながら頷き、やがて眠りに落ちていった。




新章でもありますが人ノ篇の最終章ともなります。どうか本章もよろしくお願い致します。


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