「コンラート・ナカッ・ポンドオン」「ジャック・ヌムール」(12)
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「なかつ国の王都も、エィミ国の王都の様に永い歴史を積み上げてきた街並みが港湾都市「アムス」の様な都市に変えられていくのでしょうか」
会議の最後にパーナが問いかける様に皆に尋ねた。
「文化的価値が有る物を開発の名のもとに、消失させた歴史が俺達のいた世界でも有りましたが。それを守って行こうと行動する者も確かにいたんです。その街に住む人々が街の未来を決めていくものだと思います」
アキラの言葉にパーナは少し明るく答える。
「そうですね、古くからある私達の街並みを守って行こうと私達のラジオを通じて「なかつ国」の人々にそして、この「なぁの国」でも皆に訴えていけば良いのですね」
「そうですよ、その為にもラジオを有効に使いましょう。カーメルさん達にもこの事を伝え皆に訴えかけてもらいましょう」
そう言うとアキラは立ち上がりニィー達と共に会議室を後にした。
トロフは会議室に残って座っていたキラが何かを思い詰め考え事をしているのに気付き声をかける。
「どうしたキラ、何か言い残した事でも有るのか?」
「いや、私事だよ。気にしないでくれ」
「そうか、私なら私事でも相談に乗れるが」
「いや・・、・・やはり話そう」
躊躇いながらそう言うとキラは少し間をおいて話し出した。
「ラジオの事なのだが、私の一族に少し不穏な動きが有る様な気がする」
「お前の一族は、神殿の聖職者一族だからラジオなどに興味が無いと思っていたんだが」
「ラジオの様な文化、敷いては異邦人の文化はこの東の大陸には馴染まない、これ以上の文化的浸食が続くのなら戦うべきではないかと」
「そんな動きが有るのか?」
「なかつ国の革命でどうも一気に神殿の聖職者達や熱心な信者達が、そういった流れになってきているみたいなんだ」
「パーナは知っているのか」
「いや、急な変化だ。話せていない」
「お前では角が立つだろう。私が調査しパーナに報告するという形を取ろう」
「すまない」
キラはそう言うと、席を立ち会議室を後にした。
「でろ!」
警備の兵士に促されポンドオンは牢から出され、外の広場に設けられた処刑場まで民衆が見守る中、ゆっくりと歩かされた。
「これより、刑の執行を宣言する」
刑場ではアーナッル裁判長、本日より大統領となる男が待ち構え高らかに宣言した。
処刑場を囲む民衆に中にヌムールは身を置いていた。
(これで新らたな議会も発足したし、私のこの国での仕事は一段落といった所か。次の我がグラスの新たな任務は「ハサンの国」だな。「なかつ国」の発展を見せつけグラスが街に浸食すればさほど時間もかからんだろう)
その直後、声を音を発する事もかなわない、ポンドオンの断末魔が刑場で発せられた・・。
「コンラート・ナカッ・ポンドオン」「ジャック・ヌムール」の章はここ迄となります。どうか次章もよろしくお願い致します。
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