「コンラート・ナカッ・ポンドオン」「ジャック・ヌムール」(9)
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アキラ達が待ち合わせの広場でニィー達をしばらく待っていると、暗い表情をしたニィーをいかにもまわりが慰めている様子の四人が戻ってきた。
「上手くいかなかったんですか?」
アキラが尋ねるとニィーは二枚のカードを見せる。
「番号の若い整理券を二枚だけど手に入れたよ。そしてこれが身分証明書だ」
さらに、四つ折りした二枚の用紙を差し出す。
「凄いじゃないですか、ありがとうございます」
「だけどなぁ、あいつら足元を見やがって」
喜ぶアキラにニィーは悔しそうに一言を付け加える。
「え?」
「あいつら、番号が若いからって一枚につき金貨十枚も要求しやがった。身分証明書は悔しいから他をあったたよ、そちらは二枚で金貨一枚だったよ。整理券が身分証明書よりこんなに高いって、そんな相場ありえんだろう」
そこで、トロフが声をだす。
「私が買おう、私も国境の向こうの様子を見てみたかったんだ」
「しかしこの身分証明書は、全て男性でエルフの商人と異邦人のゴーレム使いの護衛という設定なんだが・・」
「別に問題ないだろう。私が男性の商人に変装すれば良いだけだろう」
「え、よろしいのですか?」
「普段でもよく間違えられているのだから・・まあ問題ないだろう」
トロフは少し残念そうに話を続け、周りを見渡し。
「ま、後はとにかく宿で一服しよう」
そう言うと、トロフは宿へと歩き出した。
翌朝、トロフは支配人に用意させた自分に合った商人に見える男性用の服装に着替え、アキラと共に国境の検問所を訪れていた。
「整理券を配っている方の列は凄い事になっていますね」
アキラの問いかけにトロフは。
「これは早い整理券が一枚、金貨十枚なのも納得してしまいそうだな」
「今日中に国境を越えられますかね」
「認識票の魔道具が今日はどの位配られるか次第でしょうがね」
「多分こちら側の検問所を通してもらえれば、その人数分の魔道具は有るという事じゃないかな」
「・・ああ、そうなるんだろうね。とにかく検問所が開く前に並んでおこう」
そう言いながら二人は検問所の入り口に並ぶことにした。
「次、まず整理券を見せるように」
役人が二人の番号に目を通すと、奥のもう一つの国境ゲートに進むように促す。奥のゲートではそれぞれの身分証明書をまず確認すると証明書を持って奥へと引き上げ、暫く二人は待たされる事となる。
「どうやら今日中に向こうに行けそうですね」
「そうだな、随分待たされたが、向こうでは野宿になるかもしれんぞ」
「かまいませんよ、迷宮ではそれが普通でしたから」
「そうだったな」
夕暮れ近くなり二人にようやく一般用、ゴーレム使い用の魔道具が手渡され、フェアリースライムの登録は有ったが、心配していた港湾では行われていたゴーレムの確認作業は此処では行われることはなく、二人は無事ゲートを抜けようやく国境を超える事が出来た。
新章、九話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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