「コンラート・ナカッ・ポンドオン」「ジャック・ヌムール」(8)
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アキラ達一同はようやく、現在は「わの国」の直轄地となっている旧エィミ国の国境に面した街に訪れていた。
「凄く、人が多くて賑やかな街ですね」
アキラがニィーに尋ねると、ニィーもあたりを見渡しながら答える。
「交易が中心の街のはずだが、ここまで人が多いとは思っていなかったんだが」
「宿が空いているかしら、なるべく野宿は避けたいわね」
ケイトの言葉に皆で頷き、宿探しとなった。
「駄目ですね」
「こちらも駄目です」
ポインとホーゾンがそれぞれ首を振りながら宿から出てきた。
「駄目です」
少し遅れてチューンが走りながら帰ってきた。
「私が行こう、少し値段は張るが、心当たりの宿が有る」
トロフはそう言うと、ケイトを連れ立っていった。
「なんでも、わの国側の検問所で発行している魔道具が足りなくなって順番待ちになっているそうです」
チューンがニィーに報告すると、横でアキラは少し納得しながら頷き皆に話す。
「わの国で広く使われている、首にぶら下げるタイプの認識票です。新規で入国する人が多すぎて対応出来ないという事かもしれません」
「そうです。魔道具を持っている者はいつも通り入国できているそうですが、持ってない者は数日以上、待たされているそうです」
チューンがアキラに答える。
「それで宿が満員なのか。国境が封鎖されている訳ではなんだな」
ニィーに言葉にアキラは首を振りながら話す。
「数日も待たされる程、品不足になるような魔道具とは思えませんが」
「わざと供給を絞っていると」
「この事が国中に広がると、ラジオ放送と相まってこの国にとって悪い噂が蔓延するかもしれません」
「上手い、やり口だな」
「はい、そう思います」
「この後、整理券を取りにいけませんか」
「そうだな、身分証明になる物が必要だろうが、まあどこの街でも裏で偽造の証明書は販売されているものだよ、手に入れてみよう。俺は昔は取り締まる側だったんだがな」
「すみません。よろしくお願いします」
ニィーがポインとホーゾン、チューンと共に歓楽街の方に向かっていった。
アキラが一人待ち合わせの広場に皆を待つために佇んでいると、先にトロフとケイトが戻ってきた。
「宿は決まったぞ」
トロフがにこやかな笑顔で話す。
「私達の様な身なりの一般人は泊まれない、どうみても貴族やお金持ち専用の宿みたいだったけど、支配人と顔なじみだったんですって」
ケイトが少し不満そうに答えた。
「大丈夫ですか、潜入調査のはずですが」
アキラも心配そうに尋ねると、トロフは真顔で答える。
「あの支配人は大丈夫だ、昔、度々パーナとメィミェイが極秘でその宿を利用していたんだ。・・なあ、チャア」
チャアは、アキラの肩に舞い降りると懐かしそうに微笑みながら頷いた。
新章、八話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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