「コンラート・ナカッ・ポンドオン」「ジャック・ヌムール」(6)
更新いたしました。
ニィー達は一旦、各々宿の部屋に戻り昨日の食堂で夕暮れ時に再び街の偵察を兼ねて食事をとる事となった。
アキラは部屋に戻るとすぐにチャアに頼んでパーナと首飾りの魔道具で連絡をとる。
「パーナ、今、話しても大丈夫かい」
暫く間をおいてからパーナが返事をしてきた。
「おまたせ、今は大丈夫よ」
アキラには少しパーナは緊張している様な声に感じられた。
「先程のラジオの件だけども、聞いてた?」
「キラと一緒に聞いてたわ。あの裁判、非常に公平に王族を一般市民と同じ様に扱っていた風だけども、非常に不公平でも有ったわ」
「どの部分が不公平だった?」
「王が私的に行った犯罪と行政の長として一般市民では判断できない、ある意味泥をかぶってでも結論を出さないといかない、本来なら答えなど出せない事案でも実行していかなければならない立場による罪を同列に扱っていたわ」
「そうだよね。違和感は感じていたんだ」
「私だって例えば昔、内乱が有った時には一般の市民の感性から言えば罪にあたるだろう事を幾つも実行して難局を退けていたわ。その時の事を普通の人達と同列に裁判にかけられるとすれば、極刑になってもおかしくないと思うわ」
「そんな事を言えば、結果として俺はシャトルーズと共にこれまでどの位の人達を・・。俺の手も血まみれだよ」
「私もよ・・、でもその時の事が大多数の国民によって咎められるなら従うしかないとも思っているわ」
「でも、その大多数の国民が作為有るラジオの力によって替えられたものだとしたら従う必要はないんじゃないかな」
「それは出来ないわ。王族、貴族はは国民と共にあるもので、お互いの信頼が無くなった時はその国家は瓦解するものなのよ」
「本当に恐ろしい事を仕掛けているんだな」
「私もキラも、暫くは声をだす事も出来なかったもの。只々、怖かったわ」
パーナの声が少し震えている事に気が付いたアキラは強い口調で声をだす。
「もし全ての国民がパーナの敵に変わってしまおおとも、俺が、俺とシャトルーズが必ず守るよ」
「パーナ、私もよ」
チャアも話に割り込んでパーナに語りかける。しばらく無言の状態が続いた後、パーナの微かな「ありがとう」という声と共に通信が切られた。
「チャア」
アキラは驚き、チャアに声をかけるとチャアは答える。
「驚かないで、フィルが見かねて通信を切ったの。パーナ、泣いてるんだもの・・、暫く、そっとしてあげて」
アキラはパーナを気遣うフィルが傍にいる事に少し安堵しながら考える。自分達が居た世界でも同様な事が歴史上幾度も行われてきていたのではないかと思いながらも、その事に一度も疑問を抱かなかった自分自身に怒りを感じていた。
新章、六話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




