「コンラート・ナカッ・ポンドオン」「ジャック・ヌムール」(5)
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その日、朝から始まった裁判のラジオ生放送に東の大陸に居住する多くの人々が注目する事となった。
最初は弾劾裁判のような体裁で始まり、国に対してその犯した罪が述べられ続け、最後に王の役職からの罷免、更に王籍離脱がまず午前中に言い渡される事となった。
そして、丁度昼休みの時間に合わせて一般人となった「ポンドオン」に対する罪、これまで不問にされていた直接的な犯罪行為や間接的な犯罪行為が一市民が受ける裁判と同様な目線で罪状が詳しく述べられていた。
「ポンドオン、貴方はこれまでの人生で一般人であったなら数えきれない犯罪を犯してきました。もう今の貴方は王でも王族でもありません。一般の市民と同じ様に罪を償って頂くことになります」
罪状が語られた後に法廷中央に座る裁判長が口を開き、その言葉が裁判所内に木霊する。
「最後に発言を許します何か申したいことはありますか」
アーナッル裁判長の言葉に魔法具で言葉を禁じられていたポンドオンの魔法具がとかれる。
「何なんだ、お前達は!お前達に私をとがめる権限などない。私が任命した者達だけがこの国で唯一裁判を行えるのだ。この様な茶番、断じて認められない。早く私を開放するのだ」
アーナッル裁判長は答える。
「ここに座る面々は、この国での司法や政治を学んだ学者を集めて構成されております。私達、一般市民がこれまで受けてきた裁判の判例にのっとり貴方を裁いているのです。一般人となった「ポンドオン」貴方に対してこれから読み上げる判決文はこれまでの判例の積み重ねであり特別なものではありません」
ポンドオンは叫び続ける。
「このようなこと誰が認めるというのだ。誰も認めはせんぞ!」
「静粛にお願いします」
アーナッル裁判長の言葉の後に再び魔道具が機能させられ、再び裁判所は静寂に包まれる。
「主文は理由を述べた後に言い渡す事とします。被告人「ポンドオン」が成人して後、これまでに行った犯罪行為に対して王族又は王としてこれまで不問にされていた事実を踏まえるにその事実は重大であり酌量の余地はない。よって被告人については,極刑をもって臨むほかない」
アーナッル裁判長は一呼吸をおくとゆっくりと声をだす。
「主 文。被告人を死刑に処する」
放送を聞き入っていた人々のなかには、喚起を上げる者、涙ぐみ頷く者、只々驚く者、人それぞれに様々な感情が東の大陸の隅々までも覆っていった。
「これが、これが「わの国」の企てによるものなのか」
宿の部屋で青い顔をしながらトロフがアキラの方を向く。
「俺も歴史や読み物でしか知らない出来事なので・・」
そう答えながらも、アキラは「ポンドオン」の姿をパーナに置き換える事によって手の震えが止まらなくなってしまていた。
新章、五話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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