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「コンラート・ナカッ・ポンドオン」「ジャック・ヌムール」(2)

更新いたしました。

 「なかつ国」と「なぁの国」の大河に連なる国境運河検問所に「なぁの国」の黒船が足止めさせられており。そこには、いち早く「なかつ国」王都より避難していた「ぜら・あな」商会の従業員の大部分と、その家族が荷物に紛れて乗船していた。

「確認した、あそこだ」

日が昇ろうとする薄明りの中でミスリルゴーレムを駆る、ニィーが声を上げる。

「お父様はあの中に居るの?」

ニィーの横でブルーズを駆るケイトが声をかける。

「いるはずだ、どの道「なかつ国」は「わの国」の傀儡国となるはずだ。もう商会の拠点としては機能しなくなるからな」

「みんな避難してくれてるのかしら」

「現地で雇用して残留を希望しているドワーフ以外は全て乗船しているはずだ」

その時、先行して潜んでいたアキラとアイがそれぞれゴーレムに乗り込み、水路と街道の水門と検問を破壊した。



「父上、ご無事で何よりです」

なぁの国側の水門を超え河川港に接岸した黒船より下船したロン総支配人代理にニィーが声をかける。

頷くロンの隣でピガンが声をかける。

「総支配人代理には苦労させられたんだぞ、私は残ると言って聞かなかったんだからな」

「どちらも、それぞれ国の領事館だったものをお借りしているのだぞ。責任がある」

不満そうにロンが答える。

「それは、さぞご迷惑を・・」

思わずニィーが口を挟む。

「ゾンゴ王の親書が間に合わなかったら、出港出来ず逃げ遅れていましたよ」

「王の御命令が無かったら離れなどしなかった、私には御預かりしている責任がある」

三人の会話を少し離れた場所で聞きながらアキラもビガンや顔なじみの人達が無事な事に安堵していた。



なかつ国の王宮の地下牢獄ではポンドオン王が狂ったように叫んでいた。

「私は王であるぞ、何故このような罪人のような扱いをする!王にふさわしい場所に移すのだ!」

「貴方は罪人なのですよ、これから国民に選ばれた行政機関、立法機関、司法機関によって裁判にかけられるのです。それまではその個室でお待ちいただくことになります」

そう告げるとドワーフ族の学者風の男は叫ぶ王の言葉には耳を貸さずにその場を後にした。



「アーナッル、首尾はどうだい」

地上に上がってきた学者風の男にヌムールが尋ねる。

「問題はありません。が、こんな所で私に話しかけて良いのですか・・頭」

「このエリアは既にグラスで囲んである。ポンドオンにはもう一仕事、歴史の一ページに残る仕事が待っているからな」

「廃位だけでは済まないという事ですな」

「その方がお前にとっても溜飲が下がるのではないかな」

「はい、あの男は私のことなど覚えてもいない様でした」

「王族などそんなものだよ」



二人はそう会話を交わすと何事もなかったかのように別々に歩んでいった。





新章、二話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。


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