「アレン・ブラッオ」「ジル・ニューブ」(9)
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「突然で悪いが、緊急の配属命令が出た。我が隊からは、ヘンリー、ノア、エマの三名が東の大陸、「ハサンの国」との国境での警備隊として働いてもらう事となる」
アレンはWAの駐屯地で目の前に並ぶ、たくましくなった新兵たちを前にして少し残念そうな顔をしながら命令を伝えた。
「質問をして良ろしいでしょうか?」
エマが尋ねる。
「話せる内容なら答えよう」
アレンが許可を出すと、エマは真っ直ぐにその瞳をさらに大きくして質問する。
「配属は一時的なものでしょうか?「なかつ国」では暴動がおこり、内乱状態だと聞いております。その為の人員補充だと思ってよろしいのでしょうか」
「おおむねその通りだ。事が収まれば原隊に復帰できる様、手配しておくつもりだが残念だが絶対ではない」
「それは困ります、我々は隊長のもとで更なる高みに登りたいと考えているのです」
ヘンリーが一歩前に出てアレンを見つめながら意見する。
「お前たちに教える事はもう残っていないよ・・、なあ」
アレンは隣にいるジルに同意を求める。
「俺達がフジワラ長官から学んだ事は全て伝授したつもりだ。後は銘々で高みを目指すしかないんだぞ」
「まだ、私達は隊長達程の高みに到達しておりませんよ。まだまだ鍛えてもらいたい」
ノアも必死に大きな声を上げ迫る。
「そこまで言ってもらえるのは嬉しい限りだし、私も個人的にはまだまだ鍛えておきたいと思ってはいる。しかしこの先には、なかつ国側の国境を開放する事を目的とした軍事行動が計画されているのでハサンの国側が手薄になってしまっているのも事実だ。この類の命令には従うしかない」
アレンが答えると次にジルが話を補足する。
「正直、今のお前達と同等に戦える者などほとんどいないはずだ。敵の指揮官クラスでもある程度は対処できるはずだ」
そこまで話してジルは顔色を変えると突然思いつたかの様に付け加える。
「・・もし万が一、黄緑色をした光るゴーレムに遭遇したら直ちに距離をとれ。決して間合いに入るな。生き残ることを優先しろよ」
「何ですのそれは?」
エマの問いかけにアレンが答える。
「俺達が遭遇した最も恐ろしい物の内の一体だ。今は東の大陸「なぁの国」に居るはずだ」
「伝説のフジワラ長官と対峙するようなものだからな」
ジルもまた頷きながら付け加える。
その二人の様子に三人は共に何故か出会ってしまうだろう未来を想像していた。
「アレン・ブラッオ」「ジル・ニューブ」の章はここ迄となります。どうか次の新章もよろしくお願い致します。
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