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死の商人に魅入られし国(2)

更新いたしました。



 「ここにしょう、初めてでも食べやすい物を注文しとくよ」

ケイトか酒場のテーブル席に案内する。

「まだ早い時間なのに、賑わっていますね」

「ああ、彼らのほとんどが冒険者だ、酒は飲むか?ビールによく似たエールという飲み物がある」

「いえ、まだ高校生でしたので・・」

「そうか、では何かお茶っぽい飲み物を注文しておこう」


アキラは食事が来る間、この世界での生活の仕方をケイトに確かめていた。

まず、電気は無く灯りや暖房は生活魔法で行っている事、飲み水は基本井戸水か川の水でクリーンという生活魔法で飲料水化している事、何より風呂は基本的になく先程のクリーンを使用して埃や汚れを取っているとの事、とにかく生活魔法が使えない種族は宿屋の受付でお金を払いクリーンをしてもらったり魔核を使った専用のランタンを借りて部屋の灯りとして使用する事、部屋が寒い時もお金を払って部屋を暖めてもらう事。

アキラはあの召喚された部屋から持ち出した鞄の中の金貨しか貨幣を持っていなかった、今日の宿は全てケイトが手配してくれたみたいだが先行きが心配になる・・。


「冒険者ってかなり稼げるのか?」

ケイトとチャア、ビーが少し驚いた顔をする。

「ああ、ダンジョンに潜ったり野山を散策して薬草を取ってきたりして生計を建ててるみたいだが、ゴーレムに乗れる物はかなり稼げるみたいだが、特に今は天然の希少ゴーレムを狩るのが一番金になるみたいだな」

「そうなのか・・」

「軍人になりたくなければ、たしかに冒険者になるしかないが・・けがや病気をしたら自己負担な上・・よほでしっかりとした治癒魔法を使えるものがメンバーにいなければ命を落とす事になる」

「凄い治癒魔法って手足が生えたりするのか?」

「ゲームじゃないのだからな、この世界では普通せいぜい止血や骨折等の治療までだぞ」

「だよね・・」

「ゲームの様な派手な魔法なんか見た事ない、もっと地味だぞ」

がっかりするアキラの前にお茶らしき物とシチューらしき物とパンが運ばれてきた。


「あ、ちゃんとシチューだ」

「だろう、味覚は私達とあまり変わらないので助かってるよ」

「お茶も、変な癖もないですね」

「まあ、でも一応一般的な薬茶なんだがな」

エールを飲みながらケイトが微笑む。

「来たぞ、牛に似た魔獣の串焼きだ、いつも有るわけじゃないんだ」

大皿に乗った様々な部位の肉の串焼きが運ばれてきた。

「美味しい」

「だろう、あれば必ず頼むんだ」

パンはあまり美味しくなかったがこの肉とスパイスの組み合わせは最高だった。


「目的地の王都は様々なこの様な街から貿易商人が素材を運び入れ加工するこの世界一の職人の街だ、そこで身の振り方をじっくり考えたら良いよ」

「ケイトさんは何故軍人を選んだんですか?」

「まあ、色々あってな・・それにもともと海軍のパイロット候補生だったんだ」

「だから、ゴーレムがブルーズ なんですね」

「わかってくれてたのか、そうだ・・私と同じ名前のパイロットに憧れて入隊したんだ」

少し酔って顔を赤らめ微笑むケイトをアキラは素敵な人だと感じていた。






どうか次回もよろしくお願いします。


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