「アレン・ブラッオ」「ジル・ニューブ」(5)
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無事お見合いも終わり、王宮の中庭で魔導士役としてドルが、初めての腕輪でのゴーレム召喚を指揮していた。
「よし、全員召喚が終わったら中のスライムの指示に従ってスライムの本体に背中から身を委ねてくれ」
アキラはその様子を懐かしく見つめていた。
「俺もドルに見守られながら、チャアに入って行ったんだよな」
「そうですね。あの時はケイトも一緒に居ましたよね」
チャアも懐かしそうに答えた。
「 ついこの間の様に感じるよな」
「私は、アキュラと旅をして凄く成長できたように思います。あなたと一緒じゃなかったら私は今もただ復讐しか考えていなかったと思います」
「メィミェイの復讐の事だよね」
「はい、「わの国」を憎んではいましたが、その全てが憎しみの対象ではない事も学べましたし、最近ではマラジジにあの戦いの後でのエィミ国の話を聞いたりして、更に思う事が沢山増えたし、物事には単純な話なんかないって思いました」
「難しい表現だけど、正義の反対語は悪ではなく、もう一つの正義なんだよね」
「皆それぞれ正義だと思って行動しているのでしょうからね」
二人が呟いていると後ろからパーナが歩み寄ってくると話に入ってきた。
「自分が正しいと思っている方々にラジオ放送局の王都での開局に反対されて、私はもう大変なのよ」
「あ、会議終わったの」
「ラジオ局の件は次回に持ち越しになったわ。最初にドルが上手く説明してくれていたんだけど、王都では古い伝統的な生活を守るべきだって」
「ここは、古の戒律に守られた王都ですからね」
チャアが首を振りながらパーナに答える。
「ま、私にとっては、いつもの事だから負けないし必ず妥協案を見出して開局するわ」
パーナの決して諦めない力強い言葉と表情にアキラはいつも通りに見惚れていた。
数ヶ月の月日が流れ、WAの駐屯地では飛行ユニットを使った戦闘フォーメーションの訓練が行われていた。
ヘンリーとノア、エマがそれぞれ小隊のリーダーとなり、アレンとジルを敵役の標的として闘っていた。
「ヘンリー、それでは集団の優位性を生かせないだろう」
アレンが叫ぶ。
「ノア、このままだと総崩れだぞ、エマ達と変われ」
ジルから怒気が飛ぶ。
「私が囮となる、後は手はず通りに」
エマ達がジルに襲い掛かる。しかし、ものの数分で小隊の統制は崩される事となる。
「進歩が感じられないぞ」
ジルがエマ達に激しく叱咤する。
「ヘンリー下がれ。ノア隊、今度は私が相手だ」
アレンがノア隊に見事な空中戦をみせつける。
新たな首都防衛隊の練度は急速に高まりつつあった。
新章、五話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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